■胃小彎部の潰瘍■

 胃液の消化作用が重要な因子となる消化性潰瘍で、胃液分泌の攻撃因子と粘膜の抵抗因子のバランスが崩れることによって生じます。アルコール、コーヒー、香辛料などの機械的な刺激や、ストレス等で攻撃因子が強くなり、病気、血行障害、薬害、ストレス等で防御因子が弱くなると、バランスが崩れたりします。さらに近年、胃や十二指腸潰瘍患者にヘリコバクター・ピロリ菌が認められることから、この菌も重要な攻撃因子と注目されています。ほとんど小側に発生することが多く、40歳以上の男性に多く女性の2〜3倍位となっています。症状は体重減少、便秘、疲労感、貧血を伴い食後20〜30分に心下部から左肋骨弓下に疼痛を認め、便の鮮血反応、X線検査、胃カメラ等によって確診されることなります。  

 胃の小彎部に潰瘍が発生すると、東洋医学における経絡の支配領域では左右腎経のどちらかに電気抵抗が低い電気が流れやすい値として計測されます。左腎経に虚証反応が出ている場合、左腎経の支配領域中の通谷穴の直下が胃の小彎部になっていますので、虚証領域に施す皮内円皮鍼(皮内鍼)を通谷穴へ置鍼し固定すると左肋骨弓下の疼痛や、肩胛骨内側の痛み、左頚部痛、腰痛等が瞬時に鎮痛し、胃潰瘍と関連していた冷え症等が急速に改善されて行きます。

 治療としては左腎経上に虚証があり左通谷穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)をした場合、右手三焦経・右小腸経・左心包経・右腎経・左膀胱経へ瀉法の処置を行います。

 

■十二指腸球部・胃幽門部の潰瘍■

 十二指腸に起こる潰瘍。胃潰瘍と共に消化性潰瘍と呼ばれていますが、胃の幽門に近い球部に発生することが多く、胃潰瘍に比べて、反復発症が多く、若年者に多く発生し、胃酸過多の場合が多い病態となっています。精神的要因の関連が強く、過労、緊張の持続に際し発症しやすくなっています。胸焼け、げっぷ、空腹時に上腹部痛等が認められます。

 十二指腸球部や胃の幽門部等の位置は経絡では右胃経の支配領域に属し、ツボで言えば十二指腸球部は梁門穴の直下に位置し、胃の幽門部は承満穴の直下に位置しています。潰瘍が発生すると潰瘍になっている経絡の支配領域には必ず虚証反応が出ていますので、右胃経で足の第2指にある井穴の測定に於いて電気抵抗が低下している反応を計測することが出来ます。処置は十二指腸球部が潰瘍となっている場合は左梁門穴に皮内円皮鍼を置鍼すると、施鍼と同時に十二指腸の痛みや、関連症候群の違和感が瞬時に消失してしまいます。 注意しなければならないのは、身体への処置は一穴のみの置鍼でなければなりません。重ねて右胃経上の支配領域にもう一個置鍼すると、せっかく一穴の置鍼にて鎮痛していたのに、もとの黙阿弥となり最初の痛みが出現することとなります。なぜなら皮内円皮鍼は電極として身体に作用し、損傷電位を正常電位に変換しているので、同一支配領域への過剰置鍼は効果が相殺することとなるのです。水面に一個の石を投げると規則正しいわだちが出来るのですが、二個投げるとわだちは干渉しあい不規則なわだちとなるのを考えて頂ければ理解出来ると思います。この効果は経絡が一定の支配領域を持っていて独立しているから起こりうる現象なのです。

 治療効果においては皮内円皮鍼を一ミリしかない 経穴のポイントに正確に施鍼出来ると、潰瘍は急速に修復されて行きます。皮膚に接触するかしない位の鍼で鎮痛し、正常電位に変換された潰瘍の支配領域が電位を整えるだけで修復されだす経緯を辿ることとなります。現代医学の範疇では理解が難しいかも知れません。ですがそこには法則性と再現性が認められる以上、これらの法則を解明していくことは重要と言えます。薬や外科的処置によらなくとも電位を変化させるだけで組織は変化しだすのです。

 十二指腸潰瘍の場合二通りの反応があります。虚証と実証での潰瘍です。潰瘍だから虚証とは限りません。再発を繰り返している場合、右胃経が実証となっている事が多い傾向があります。体癖としては左肩上がりが多く、左大腸経、右心経、左脾経、右胃経が実証で気を誘導すると左肩より右足へと移動が起きます。この場合は右足三里穴への一ミリ程度の円皮鍼を置鍼し揉む指導をします。
ここで問題なのはツボを正確に出すという操作です。我々は皮膚電気抵抗器の金属部分で通電しやすいポイントを出します。一ミリ程度ですが。これが所謂ツボです。経穴で在るかどうかは通電しているときの気の変化を感じ取り判断します。こうして出たポイントへ円皮鍼を置鍼した場合は痛くありません。そして有効に経絡上の気を誘導することが出来ます。このようなツボを出さずに円皮鍼を置鍼すると神経への刺激が顕著となり経絡変動以外に神経伝導が加味され正しい気の誘導が出来ず効果が半減してしまいます。

 基本的に経絡の実証が読めないと処置はいいかげんなものとなってしまいます。十二指腸潰瘍の場合、実証としての潰瘍を上記で述べましたが、以前潰瘍を起こし傷跡があり何時でも荒れやすくなっている環境にあるとき実証として出現しています。
この状態が進み組織が明らかに損傷している状態が続くと虚証に変化して行きます。そのような時の経絡は、右大腸経、左心経、右脾経、左胃経に実証反応があり、井穴の皮膚電気抵抗を調べると右胃経に電気抵抗が低い電気が流れやすい値を計測することが出来ます。そうすると右胃経 の直下が潰瘍となっていて、経穴に反応が出ていますので皮内鍼を置鍼すると全身の症状が瞬時に改善するくらいの開放感と鎮痛効果が得られます。中途半端な潰瘍は実証のことが多く組織破壊が大きいと虚証としての潰瘍となっているものです。実証の確認には気を感じ取ることが必要で、虚証の確認には皮膚電気抵抗器が必要です。 (我々はこの両者の操作をポイントチェッカーで行っています)

 

■ポリープ■

 ポリープというのは細胞の異常増殖によってできた突起物のことで、きのこ状の有茎性・亜茎性のもの、根もとが広い無茎性のものがあります。これらが胃の粘膜の最も上の層(上皮)にできたものを胃ポリープといいます。ポリープは自覚症状はほとんどありません。しかし、大きくなると出血したり、食べ物の通過を妨げるため吐き気や痛みを伴うこともあります。また、有茎性のポリープには良性のものが多いといわれていますが、無茎性のポリープには、悪性のものがみられることがあるので注意が必要です。西洋医学で胃ポリープの発生原因ははっきりとはしていません。びらんなどで粘膜の欠損が起きると、粘膜の上皮がその欠損を過剰に修復しすぎて、ポリープができると考えられています。これを過形成性ポリープといい、慢性胃炎をもつ人に多くみられます。

 男性(K・W)首筋、背中、足の凝りで来院。問診時に胃の幽門部近くにポリープが在ることを告げられる。経絡診断では右肺経・左大腸経・右胃経・左肝経が実証で、右大腸経に虚証反応。処置は右大腸経上の上曲池穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を置鍼。関連する実証経絡に瀉法の処置。3回とも同一の経絡診断。3日間隔で3回の治療で当初の主訴は完治。しかし、右大腸経の虚証反応が残っていたので、一ヶ月に一度の治療を続ける。途中、経絡診断が右心経・左大腸経・右胃経、左脾経となり 左胃経に虚証反応。左胃経の解谿穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)。左右差が大きいと慢性となっている事が多い。右胃経への瀉法を中心に処置を行う。半年後の検査でポリープが無くなっていることが確認できた。

 胃の幽門部周辺は右胃経の支配領域となっています。経絡診断において胃の幽門部周辺にポリープが在ると右胃経には実証反応が出ています。 右胃経の実証反応を中心として、上下、左右の関係を調べる必要があり、右肺経・左大腸経・右胃経・左肝経が実証となり、右胃経と上下で接続している右大腸経に虚証反応が出ている傾向が見られます。 さらに、右心経・左大腸経・右胃経、左脾経となり左胃経に虚証反応 が出ている傾向が見られます。疾病度は左右のアンバランスが一番大きく慢性疾患の傾向があり、次に上下のアンバランス、そして、表裏のアンバランスとなります。

 虚証領域には損傷電位があり気の混乱が発生しています。こうした環境では虚証領域と上下、表裏で接続している経絡の支配領域には気の滞りが発生して実証反応が生じ、実証の疾病が生じます。気の循環が低下する実証反応は組織が荒れやすく営みも低下しやすくなっていますので、その結果としてポリープが出来やすい環境となるのです。

 西洋医学では良性のポリープはあまり問題視されませんが、経絡診断においてはポリープが身体の何処にあっても頑固な実証経絡が存在していることとなり、首筋や肩や腰等に強い違和感を感じやすくなります。

 大腸のポリープ等も左右の胃経の実証。左右脾経の実証。左右肝経の実証の時にポリープが出来やすく、ポリープの部位を支配している経絡上に出来ています。実証経絡にポリープが存在する場合、その実証経絡に対応する虚証経絡の確認が大切で、虚証経絡がある場合はまず、虚証経絡の処置を先にして、しかる後、実証経絡への処置へと手技を行う必要があります。

 

 

■逆流性食道炎■

 逆流性食道炎は、胃の内容物(主に胃酸)が食道に逆流するために起こる食道の炎症です。食道は胃と異なり胃酸を防御する働きがないため、胃酸が逆流すると炎症が起きやすくなります。炎症が強いと潰瘍(かいよう)が生じて、出血や狭窄(きょうさく:せまくなること)の原因になります。逆流性食道炎ではほとんどが食道裂孔ヘルニアという状態になっています。食道裂孔とは横隔膜に空いた食道を通す穴で、胃と食道を固定し逆流を防止していますが、これがゆるむと胃の一部が胸部に持ち上がってきます。これが食道裂孔ヘルニアで、食道と胃のつなぎ目(接合部)のしまりも悪くなり、胃の内容が簡単に食道に戻りやすくなります。

 経絡診断において食道と胃のつなぎ目の部位を支配しているのは左胃経となります。この部位に潰瘍が出来ると左胃経には虚証反応があり、実証経絡は右心経・左大腸経・右胃経・左脾経となっています。

 症例(K・T)61歳 女

 逆流性食道炎で食道に潰瘍あり。一ヶ月前に心配事が重なり胃の不快感で数日食べられないことがあった。喉の痛みと胃の痛みあり。頭を動かすとフワーッとなる。
 経絡診断では左胃経に虚証反応あり。左胃経の解谿穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)。しかる後、実証経絡へ瀉法の処置。治療終了後より諸症状消失。一ヶ月後虚証反応も消えて完治する。

 

症例(M・K)38歳 女

  逆流性食道炎で来院。経絡診断では二つのパターンが出る。
@右心経・左大腸経・右胃経・左脾経が実証。左脾経と表裏の関係にある左胃経に虚証反応。
A右心経・左小腸経・右膀胱経・左脾経が実証。右心経と表裏の関係にある右小腸経に虚証反応。

@の処置は左胃経の解谿穴に皮膚接触固定鍼(皮内針)。右胃経の解谿穴に円皮鍼。関連実証経絡の支配領域に瀉法の処置。

結果:体調は良くなるが胃が完全にスッキリしない。

Aの処置は右小腸経の養老穴に皮膚接触固定鍼(皮内針)。左小腸経の養老穴に円皮鍼。関連実証経絡に瀉法の処置。

結果:胃の調子が良くなり胃酸の逆流も無くなった。

 

■過敏性腸症候群■

 過敏性腸症候群は、下痢や便秘を訴える人の40〜70%を占めるほど頻度の高い病気です。下痢に襲われるのを心配して、外出先では何も食べない、各駅停車の電車にしか乗れないそんな生活を何年も続けている人もいます。
 検査をして異常値が出ないのに下痢や便秘、または、両方を交互に繰り返すなどの便通異常が長期間続くのが特徴です。1回の便量が少なく、多くの場合排便前の腹痛や残便感があります。腹が張る、腹が鳴る、吐気、嘔吐、ゲップ、放屁など、腹部に不快な症状がでることもあります。症候群といわれるように、いくつかの症状が集まっていることが多いものです。また、立ちくらみ、動悸、肩こり、疲労感、異常発汗、顔面の紅潮、いらいら、などといった自律神経失調症を合併することもしばしばあります。
 年齢層は、思春期から40代を中心に50代までと幅広いのですが、60歳以上の高齢者には少ない病気です。最近は、小・中学生にも増えていて、特に進学校の生徒に多いといわれています。

 症例 (H・O) 72歳 女

 下痢が続き食欲がない。目が疲れやすく、首筋の凝り、朝起きると左手が痺れていることがある。過敏性大腸炎と診断され来院。

 経絡診断では右心経・左大腸経・右胃経・左脾経に実証反応。右胃経と表裏の関係にある右脾経に虚証反応あり。右脾経の商丘穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)。実証経絡に瀉法の処置。治療と同時に目の疲れや首筋の凝りは消失。翌日より腸の調子は良くなる。起きがけの左手の痺れも消失。

  

 

 

 

 

 

■糖尿病■

1−糖尿病
「糖尿病と言っても単にインシュリンの分泌機能低下によるものから、肝機能障害や腎機能障害等に起因する高血糖障害等があります 。これらをエネルギー(気)の循環の変化の差違を見つめながら幾つかのパターンについて東洋医学の経絡理論より述べさせて頂きます。

  現代医学の通念では糖尿病が発症すると、完全に治ることがなく、「上手に一生付き合う病気」とされています。本当にそうなのでしょうか。社会的には糖尿病と申告すると銀行の住宅ローンは通りません。生命保険にも加入出来ない社会環境があります。アメリカでは民間の健康保険の加入すら大変難しくなるようです。


 糖尿病と言っても単に膵臓のβ細胞の破壊によりインシュリンを作る細胞が破壊され、身体内におけるインシュリンの量が絶対的に不足する1型糖尿病。インシュリンの出る量が少なくなり肝臓や筋肉などの細胞がインシュリン作用に反応しなくなる我が国で95%以上をしめる生活習慣病としての2型糖尿病。他遺伝子の異常や肝臓や膵臓の病気、感染症、免疫の異常、薬剤の影響、さらに他の病気が原因となるものや妊娠糖尿病などがあります。
 これらの糖尿病に対して東洋医学の根幹である経絡を運行している気(エネルギー)の操作を行うことにより疾病の改善。若しくは、治癒を促す法則性と再現性のある治療パターンを得たので発表することにしました。
ですがこの経絡なる存在は組織解剖学的には証明されていませんが内分泌と不可分に関連して、身体内では一定の支配領域を持ち、臓腑や細胞組織に影響を与えていることが臨床を通して確認されています。よってこの度の糖尿病に於ける診断と治療及び経過に関しては身体内を運行する十二経絡循環の操作を基礎としたデーターとなっています。

 また症状の改善や治癒とする判断を、採血前における1ヶ月の平均的な血糖の状態が解るヘモグロビン(HbA1c)値を経過の判定基準としました。アメリカ糖尿病協会ではヘモグロビンA1cが8%超えたら信頼する医師の指導に従い、6%台が目標値で7%台が要注意となっています。

糖尿病と診断された患者さんを東洋医学の基礎理論となっている経絡エネルギーの変動で見ると、或一定のパターンがあることに気付きます。それらは膵臓の膵頭、膵体、膵尾の何処に異常がある時、経絡のバランスにも変動が見られ、虚証領域や実証領域があり、関連する他の経絡に一定のパターン化出来る糖尿病で発生する組み合わせが出現しています。こうした発生しやすい経絡のアンバランスとヘモグロビンA1cに変化が認められたパターンや膵炎と診断されたパターンを絞り込んで述べてみます。

「糖尿病と言っても単にインシュリンの分泌機能低下によるものから、肝機能障害や腎機能障害等に起因する高血糖障害等があります 。これらをエネルギー(気)の循環の変化の差違を見つめながら幾つかのパターンについて東洋医学の経絡理論より述べさせて頂きます。

  現代医学の通念では糖尿病が発症すると、完全に治ることがなく、「上手に一生付き合う病気」とされています。本当にそうなのでしょうか。社会的には糖尿病と申告すると銀行の住宅ローンは通りません。生命保険にも加入出来ない社会環境があります。アメリカでは民間の健康保険の加入すら大変難しくなるようです。

 糖尿病と言っても単に膵臓のβ細胞の破壊によりインシュリンを作る細胞が破壊され、身体内におけるインシュリンの量が絶対的に不足する1型糖尿病。インシュリンの出る量が少なくなり肝臓や筋肉などの細胞がインシュリン作用に反応しなくなる我が国で95%以上をしめる生活習慣病としての2型糖尿病。他遺伝子の異常や肝臓や膵臓の病気、感染症、免疫の異常、薬剤の影響、さらに他の病気が原因となるものや妊娠糖尿病などがあります。
 これらの糖尿病に対して東洋医学の根幹である十二経絡における特定の経絡を運行している気(エネルギー)の操作をすることにより疾病の改善。若しくは、治癒を促す法則性と再現性のある治療パターンを得たので発表することにしました。

 また症状の改善や治癒とする判断を、採血前の1ヶ月の平均的な血糖の状態が解るヘモグロビン(HbA1c)値を経過の判定基準としました。アメリカ糖尿病協会ではヘモグロビンA1cが8%超えたら信頼する医師の指導に従い、6%台が目標値で7%台が要注意となっています。

 糖尿病と診断された患者さんを経絡エネルギーの変動で見ると、或一定のパターンがあることに気付きます。実証経絡が左陽経の左大腸経、左三焦経、左小腸経 のパターンと右陽経の右大腸経、右小腸経のパターンとが出てきます。そして身体の営みに比例して、これらの実証経絡と他経との組み合わせが出現しています。 発生しやすい経絡のアンバランスとヘモグロビンA1cに変化が認められたパターンや膵炎と診断されたパターンを絞り込んで述べてみます。

  図1は膵臓と対応する経穴となっていて、各ポイントには胃経、腎経、肝経が影響しています。支配領域が異なる経絡でありながら膵臓の変化を反映することになります。

図1

膵臓と関連する経穴。

1―右関門穴(右胃経)膵頭。
2−右陰都穴(右腎経)膵体
  正中線より五ミリ右より。
3−左陰都穴(左腎経)膵体。
  正中線より五ミリ左より。
4−左梁門穴(左胃経)膵体。
5−左期門穴(左肝経)膵尾。

 

糖尿病と診断された時に発生している経絡バランス。

@−左大腸経・右心経・左脾経・右胃経が実証のパターン。
  
左胃経虚証1-4)が影響。
  処置:左胃経の梁門穴に虚証に対応する皮内円皮鍼(皮内針)。
         若しくは、左解谿穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)。
   
右脾経に虚証反応。肝機能に異常が出て膵臓に影響。  

A−左大腸経・右肺経・左脾経・右胃経が実証のパターン。
左大腸経実証or 右大腸経虚証。が影響。
処置:右大腸経の上曲池穴に虚証に対する皮内円皮鍼(皮内針)。
虚証が消えたら左肩上がりで左大腸経の上曲池穴に実証に対する円皮鍼。

B−左三焦経と右肺経が実証で右肝経が虚証のパターン。
  
左肝経実証 (図1-5)が影響。 腎機能低下や腸閉塞との関係が深い。

C−右大腸経・左心経・右脾経・左胃経が実証のパターン。
  
右胃経に虚証反応(図1-1)。肝機能障害と 脂肪肝となりコレステロールが高
  くなりやすい。

D−左三焦経・右心包経・左胆経・右腎経のパターン。
  
右三焦経に虚証反応。腎機能低下や腸閉塞との関係が深い。

E-右小腸経・左心経・右腎経・左膀胱経が実証のパターン。
  
左小腸経or右心経に虚証反応。 肝機能障害と高血圧とに関係が深い。
 

 

 

男性(I・U)57歳

 糖尿病で来院。血糖:食後二時間値190。ヘモグロビンA1c7.1
10年前より値に大きな変化なし。錠剤一錠服用。
身体症状:右膝常に怠い。鼻が詰まりやすい。でき物が出来ると治りにくい。

 当初の経絡診断では左肩上がりで@左大腸経・右心経・左脾経・右胃経が実証と出ている。左胃経に虚証反応があったので左胃経の(図1)4−左梁門穴(左胃経)膵体へ皮内円皮鍼(皮内針)を処置する。右膝の怠さ少し改善される。一週間後A当初の実証反応で右脾経に虚証反応。右商丘穴へ皮内円皮鍼(皮内針)。朝の起床時のもやっとした感じが少し良くなり、膝の怠さは殆ど良くなった。ヘモグロビンA1c6.7。10回目の経絡診断において大きな変化が起きる。左心経・右小腸経・左膀胱経・右脾経の実証で左小腸経に虚証反応出る。左小腸経の天井穴へ皮内円皮鍼(皮内針)、ヘモグロビンA1c6.7。体調は良い。11回目の治療での経絡診断は左心包経・右小腸経・左膀胱経・右腎経となり左膀胱経と表裏の関係にある左腎経に虚証反応。左腎経の支配領域である(図1)3−左陰都穴(左腎経)膵体へ皮内円皮鍼(皮内針)。一ヶ月後の検査でヘモグロビンA1c5.8となる。「病院では運動頑張られたんですね」と言われるも普段と変わったこと何もしていない。以後値も安定してヘモグロビンA1c5.8程度となっている。

 

男性(K・Y)62歳

 糖尿病で来院。左第一趾が紫色になり腫れている。ヘモグロビンA1c7.6。経絡診断では右心経・左大腸経・右胃経・左脾経が実証で左胃経に虚証反応。左足の第一趾にしていた包帯を取り外し、趾を回し揉みする。男性は驚くが、最初は痛みで顔が歪んでいたが3分も回し揉みしていると肩の凝りも取れ、左第一趾の赤みは取れないが痛みが軽減し出す。お腹の調子も良くなってきて暖かくなる。この左第一趾の腫れは左胃経の虚証に対応する左脾経の実証からくる腫れとなっていた。実証領域は組織の営みや働きが悪い領域となっているので湿布や通気性が悪い包帯もマイナスとなりやすい。1〜2週間に一度の間隔で8回の治療を施す。経絡診断では最初から最後まで左胃経に虚証があり、薬を服用してではあるがヘモグロビンA1c6.3となる。左第一趾も改善された。処置は左胃経の解谿穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)。各実証経絡への瀉法を行う。

女性(M・O)67歳

 糖尿病と肝機能障害。全身の疲れで来院。ヘモグロビンA1c7.0。経絡診断では右心経・左大腸経・右胃経・左脾経で右脾経と左胃経に虚証反応。最大虚証が左胃経となり、左胃経の解谿穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)。各実証経絡に瀉法の処置。胃酸過多ぎみの胃腸の調子が良くなる。1〜2週間間隔で同一治療を5回行う。6回目の治療時にヘモグロビンA1c6,3となる。一ヶ月半後来院。体調が良くなり宿題をしなかったらヘモグロビンA1c6,8に上がり、肝機の値が悪いと言う。左胃経の虚証反応は消えている。右脾経の虚証反応に皮内円皮鍼(皮内鍼)を処置する。2〜3週間に一度で同一の治療を4回行う。肝機能の値が正常範囲となる。ヘモグロビンA1c6.0に下がる。
  

 (松田)
 先ごろ、日本公衆衛生学会で産業医科大グループが「糖尿病と癌死との関連」に関する疫学調査の結果を発表していました。それによると、福岡県北部の30〜79歳の住民約一万一千人を対象にした調査で、糖尿病の5百5十4人と糖尿病でない人の癌死亡率を比較したところ、癌で死ぬ危険性は、男性で1・65倍、女性で3・34倍高かったそうです。これは、年齢や喫煙などの癌と関連する因子を除いて算出したものです。つまり、糖尿病患者は、癌になりやすいらしいのです。糖尿病になりやすいのは、左大腸経に実証がある場合、左胃経に虚証が出ている場合で、癌にかかりやすいのは、右肝経に実証が出ていることが多いと理解していますが、近藤先生は、糖尿病と癌になりやすい経絡パターンが似通っていると思われたことはありますでしょうか。(特に、女性患者で)

 (近藤)
 糖尿病患者が癌になりやすいデーターが出たようですが、糖尿病になりやすい経絡上のアンバランスには大きく分けて以下のパターンがあります。糖尿病になる経絡上の反応は、左大腸経に実証がある場合、左胃経に虚証が出ている場合が顕著です。

 癌と関係しやすいのは膵臓の異常が最初の要因ではなく、肝臓の異常が最初あり続発疾患として境界型の糖尿病要素を長く続けている人や、糖尿病でありながら脂肪肝が合併症となっている傾向の人に見られました。

男性(H・I)78歳

 2年前に前立腺癌の全摘後、痰が絡み胃腸の調子が悪い。頭が目眩のようにくらくらとする症状の治療で来院。糖尿病も在る。
 経絡診断では右小腸経・左心包経・右腎経・左膀胱経に実証反応。左腎経に虚証反応。処置は左腎経の虚証の処置として左太谿穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)。頭が目眩のようにくらくらとする症状は無くなる。3日後、経絡診断は前回と同じ。左腎経の虚証に対して左通谷穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)。胸焼けと痰の絡む症状が改善する。5日後、経絡診断は前回と同じ。前立腺の部位となっている左大赫穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)。一ヶ月後、当初訴えていた症状は全て改善。便通も良くなっている。しかし、腹部に圧迫感を訴える。経絡診断では右大腸経・左心経・右脾経・左胃経に実証反応。
右胃経に虚証反応があり、右胃経の解谿 穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)。聞くところによると、この治療を受けて調子が良いのでコレステロールを下げる薬と、糖尿病の薬をやめているらしい。薬を服用せず経過を見ることとする。 以後、小便をするとき泡が立っかどうかを確認して貰う。同一の治療により小便時の泡も次第に無くなって体調も良くなった。残念ながら薬を止めてから病院に行っていないので検査値の確認は取れていない。

 男性(S・K)61歳も疲労感と肩こりで来院。中学2年、3年の時に慢性肝炎で入院。来院時に糖尿があった。ヘモグロビンA1c7.0。最終的に疲労感や肩こりも含めヘモグロビンA1cが6.0に下がったのも経絡診断で右大腸経・左心経・右脾経・左胃経に実証反応。右胃経に虚証反応があり、右胃経の解谿穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を施し、実証経絡への瀉法の処置を行ってからのことであった。

 糖尿病ではないが、C型肝炎(急性肝炎) の患者さんでGOT・GPT共に値が3000位になって2年間注射をして、現在、正常範囲より少し高い値となっているが、体調が優れないといって来院。この患者 さんは上記経絡診断と同じ証で、右大腸経・左心経・右脾経・左胃経に実証反応。右胃経に虚証反応があり、右胃経の解谿穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を施し、 体調が良くなり、実証領域への瀉法の処置にて肝臓の値も正常範囲となり2ヶ月間で治癒した。

考察:糖尿病で膵臓に起因する場合は左胃経に虚証反応があり、左胃経左梁門穴膵体」(1)に原因が見られたのに対して、肝臓の影響と考えられる経絡診断では右胃経の虚証反応が現れていた。これらは右胃経支配領域右関門穴膵頭(図1)問題が在ると言うより、肝臓との関係で糖尿病を引き起こしていると考えた方が良いようです

 

 西洋医学では生体機能の正常化を期待できる範囲に、つねに血糖濃度を保持する仕事は主として肝臓で行われ,血糖濃度に呼応して膵臓のランゲルハンス島から分泌されるインシュリンの働きがあるわけで、肝臓の異常に誘発されて糖尿病となる場合は、肝機能が悪化し過ぎて糖尿までに至った生体であるからこそ癌となりやすいのではと日頃考えています。ですから上記データーに付け加えると、その内悪玉のコレステロールの値がどの様であったかが加味されると異なったデーターが出ると考えられるのではないでしょうか。


(松田)
 糖尿病の原因としては、@膵臓からのインシュリンの分泌が低下するのが主因の場合Aインシュリンの働きが悪くなるのが主因の場合(肝臓、筋肉、脂肪組織などは、ブドウ糖を利用するために、インシュリンを必要としていますが、これらの組織がインシュリンに反応しにくくなっている場合です。これを専門的には、「インシュリン抵抗性」と言います。)したがって、@の場合が、左大腸経、左胃経に問題が出ているパターン、Aの場合が、先生の言われる肝にまず問題のある場合で、右大腸経に実証の出ているパターンと言う事になると思います。前回紹介した発表で、発表者は、糖尿病患者が癌になりやすい理由として、上記Aの場合に、インシュリンが癌細胞を刺激し、癌の増殖を促すためではないかと推論していました。《つまり、インシュリンがある程度出ていても、肝などが反応してくれないので、身体は、インシュリンが足りないのだと勘違いして、無理に分泌するのが刺激になるという事です。》おかげさまで、納得できました。
 

 

■肝臓疾患と経絡■

 

 肝臓は、基礎代謝の約25%を担い、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン代謝の中心です。また、アルコールの約90%を処理し、他の毒物の解毒なども行っています。

 肝臓病の原因としては、ウイルス、薬物、アルコール、免疫、代謝異常などが代表的です。その症状のおもなものは、自覚的には食欲不振、全身倦怠感、他覚的には肝腫大、黄疸、腹水浮腫などがあります。肝臓病には脂肪肝、急性肝炎、ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害、慢性肝炎、終着駅は肝硬変で、肝臓癌の合併も少なくありません。

 

 肝機能に大きく関係する経絡診断では右肝経、右胃経、右脾経、右大腸経があります。右大腸経の実証としての病証があると脂肪肝となっていたり、右大腸経が実証の状態で上下で接続している胃経に虚証反応があると慢性疾患の傾向が認められます。右脾経に虚証があると肝臓の右葉に問題がある肝臓疾患となりやすい反応となっています。右肝経に虚証があると肝臓や胆嚢にも問題が出ています。

 

症例1 C型肝炎 74歳 女

 平成1年に肝機能異常と診断される。平成8年12月来院。
当時の内服薬(小柴胡湯消化剤・安定剤・vitC・ウルソ100)
GOT160・GPT268

 経絡の反応:右大腸経=実証。右曲池穴に円皮鍼(1ミリ)置鍼。自宅で揉む指導。その他の実証=左手肺経、右足肝経、左足胃経。の豪鍼の処置を施しだしてGOT・GPTが100以下に下がる。

 小柴胡湯を服用しない方が胃が軽いと治療開始より1ヶ月で中止。安定剤は3ヶ月後に中止。体調は良好であったがGOT・GPTの値100前後で変化なし。色々な角度より経絡のバランス調整を試みる。

 一年半後急速にGOT・GPTの値が良くなり正常範囲へと近づき、その後2ヶ月で正常値となる。

 急速に改善をみた経絡上の反応と処置。
 左大腸経=虚証。
左曲池穴に皮内円皮鍼。右胃経=虚証。右解谿穴に皮内円皮鍼。(鍼体が0.6ミリでサジカルテープを重ね合わせ、鍼先が皮膚に接触する位で固定した円皮鍼で針先が表皮と真皮の間にあれば有効で、皮内に達すると効果が落ちる。)


症例2 C型肝炎 67歳 女

 身体が怠く検査をしたらC型肝炎と診断される。経絡診断では右大腸経・左心経・右脾経・左胃経に実証反応があり、右脾経と陰陽の関係にある右胃経に虚証反応が確認される。処置は右胃経の鶴頂穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を置鍼。身体の怠さは一回目の処置にて改善したと言う。その後、同一反応なので同一ポイントに皮内円皮鍼(皮内鍼)を処置する。加えて実証領域に低出力レーザーを照射する。3ヶ月の治療にて肝臓の値が正常範囲となる。

 

症例3 肝臓部位の常時鈍痛を訴える患者。脂肪肝あり。48歳 男

 肝機能の値で異常が出たのは10年前より。現在GOT・GPT共に値が100〜150前後の慢性疾患となっている。左肩上がりで、経絡の反応では右三焦経、左肺経、右肝経、左胆経に実証反応が認められた。左肩上がりなので右足肝経の曲泉穴へ1ミリの円皮鍼を置鍼。右三焦経、左肺経、右肝経、左胆経に豪鍼。また自己管理として自宅で毎日 実証経絡の指を揉む指導を行う。朝昼晩に3分位。一ヶ月後、GOT48・GPT83。肝臓部位の鈍痛が消失 。自己管理を続けて貰う。

症例4 慢性肝炎。痔疾患。脂肪肝。 52歳 男

 左肩上がり。経絡の実証反応は右大腸経、左肺経、右肝経、左胆経となっている。そして左肩上がりになっている場合、豪鍼などで気を操作すると、過剰な気(エネルギー)は左手から右足へと移動して均衡を保とうとする流れが生じるので、治療処置のポイントは右大腸経、左肺経、右肝経、左胆経の支配領域へ豪鍼。さらに左手肺経の経穴の一穴へ1ミリの円皮鍼を置鍼。自己管理として自宅で毎日揉む指導を行う。朝昼晩に3分位。加えて右大腸経、左肺経、右肝経、左胆経が支配している指の関節を回し揉みして貰う。6ヶ月後肝臓の値正常、痔の症状消失。エコーでの肝臓検査では明らかに改善が認められた。


症例5 脂肪肝。47歳 男

 右肩上がり。右肩が痛くて来院。医師には脂肪肝と診断されている。経絡診断では右大腸経・左肺経・右脾経・左胃経に実証反応。右肩上がりで、手の左右の実証が陰陽なので最大実証の
右大腸経の上曲池穴に円皮鍼を置鍼。自宅で揉む指導を行い、各実証領域へ瀉法の処置。痛みは 週一の2回の治療にて改善。さらに脂肪肝を改善してほしいとの依頼。経絡診断は同じ反応。同一の治療を続け、体調が良くなり、朝昼晩と実証経絡の指回しを励行し、2ヶ月後のエコー診断で医師よりかなり改善していると言われる。コレステロールの値も正常となる。


症例6 
糖尿病と肝機能異常 67歳 女

 左肩上がり。肩が凝り身体が怠くて来院。糖尿病と言ってもヘモグロビンA1c6,3。薬は服用していない。

 経絡診断では右脾経に虚証反応がある。右脾経は肝臓の右葉が支配領域となっている。実証領域は右心経・左大腸経・右胃経・左脾経。処置は右脾経の商丘穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を置鍼。そして、各実証経絡への瀉法の処置。同一経絡診断が2ヶ月続く。治療は5回。5回目の治療後、一ヶ月で来院。肝機能の値が正常になっていた事を告げられる。ヘモグロビンA1c5,8に下がっていた。

 

■癌■

 

1−癌が発生した時に発生している経絡のアンバランス。

 

 癌は西洋医学では、正常の細胞は生体の制御を受けて、それぞれ分化した機能を営んでいますが、その細胞が不可逆的な変化によって、自立的に増殖するようになったものを腫瘍細胞と言います。そのうちで特に未分化な細胞の形に変わり、急速な発育と周囲への浸潤や転移を起こし、やがて宿主を死に至らしめるような悪性腫瘍を癌といいます。 

 組織の変化に比例して経絡循環にも変動が生じます。癌になりやすい経絡変動のパターンをあげてみましょう。よく癌体質とか遺伝とかいわれますが、根拠がないわけでもないようです。以下 にあげる経絡のアンバランスは免疫力が低下するパターンの一つと考えられます。中心となるのは右肝経です。癌が発生している身体環境において 脂肪肝傾向があったり、機能が低下していたりと実証反応を現しています。

 加えて経絡診断に於いて右手陽経(大腸経・三焦経・小腸経)、左手陰経(肺経・心包経・心経)、右足陰経(脾経・肝経・腎経)、左足陽経(胃経・胆経・膀胱経)に実証反応が出やすくなっています。これらは肝機能が実証 反応として機能低下しやすいバランスとなっていることを現しています。当然これらの実証経絡が発生するには根底に実証経絡と表裏の関係にある経絡上に虚証の存在を知ることが必要です。

 

2−癌発生時の実証経絡と虚証経絡

 

 癌の手術後における経絡反応の多くは右手三焦経、左手肺経、右足肝経、左足胆経に実証反応があり、加えて右足胆経若しくは左足肝経に虚証反応を確認することが出来ます。

 さらに左肝経の虚証反応が消えると次に左腎経の虚証が出てきます。実証経絡は右小腸経・左心包経・右腎経・左膀胱経となり、左膀胱経と表裏で接続している左腎経の虚証反応となります。この段階になりますと腫瘍マーカーも消えていることが多く、再発に関しては一安心と言えるかもしれません。

 ですが癌が身体に定着している身体環境では右肝経に実証反応がある場合が多く、左肝経の虚証。左腎経の虚証が根底にあるようです。ただ、転移すると上記経絡にプラスして転移している組織の主張が旺盛となるので右肝経の実証、左肝経の虚証、左腎経の虚証より優先的に処置を施さなくてはならなくなります。そして経絡循環を操作するのが困難となってきます。

 各種癌で、摘出手術を行った後、手術によりガン細胞を摘出したからといって、癌が発生しやすい環境が一緒に取り除かれたことにはなりません。腫瘍マーカーが正常になっていても、左肝経の虚証、左腎経の虚証反応が出ていたりします。細胞組織の営みが経絡に反映して出ているこれらを改善しておく必要があります。この反応の確認としては皮膚電気抵抗器にて井穴を測定します。腫瘍マーカーの値が正常範囲にもかかわらず、電気抵抗が低く電気が流れやすい虚証反応が右胆経や左肝経や左腎経に依然として残っている場合がそれにあたります。 加えて右大腸経・左心経・右脾経・左胃経に実証があり左胃経と表裏の関係にある左脾経の虚証の存在です。

 この経絡バランスは手術前にも出ていたりします。コレステロールが高い人に出ている経絡バランスでもあります。右乳がん4.5センチの方はこの経絡バランスの時に微熱が出て2週間で癌が消えてしまいました。当然、抗がん剤も投与しています。虚証となっていた左脾経の支配領域にある脾臓の役割が何であるのかを考えた次第です。

上海中医学院
脾経図

 組織の働きが正常になるまで気の流れを円滑にして経絡上の気のアンバランスを調整しておく必要があります。気の循環が正常になると右胆経、左肝経、若しくは左腎経の虚証反応は正常電位となります。ここで初めて安心できる経絡循環を取り戻したことになります。 当然経絡循環が整うと組織細胞は正常な営みを取り戻したことになります。術後の処置が重要なのは癌になりやすい環境が手術により消えるものではないからです。何時でも癌が発生して定着しやすい組織環境があり、それらは経絡上に反映しているのです。

 組織が壊れたり機能異常があると西洋医学では簡単に検査データーで検証することが出来ますが、組織が壊れようとして変化している身体の環境を読み取ることは出来ません。あらゆる検査データーが正常であるにもかかわらず異常を訴える患者に対しては、簡単に自律神経失調症と診断されやすく、心療内科で安定剤を処方される経緯が一般的な傾向となっています。不定愁訴に対してお手上げの現代医学がここにあると言えます。 これらに対して対処できるのが東洋医学における気の調整なのです。

 生体の営みに比例して反映している気(エネルギー)の循環は十二経絡にその状態が現れています。また十二経絡は身体内で独立した支配領域を持ち 一定の臓腑を支配しています。加えて一定の臓腑における異常は関連する各経絡に反映しています。そして身体内に発生した異常は各経絡内に気(エネルギー)の過不足 を発生させています。ここで発生している 気(エネルギー)の過不足が経絡間に電位的緊張をもたらし各種違和感を発生させているのです。

 

症例一 胃癌初期で。

 胃癌の告知を受ける7年前十二指腸潰瘍。高血圧の薬服用(10年前より)。胃癌による摘出は胃の三分の二。術後3ヶ月して来院。食欲はあるが下痢ばかりして体重が増えない。疲れやすく、すぐ風邪を引きそうになる。

経絡診断
右三焦経・左肺経・右肝経・左胆経が実証。
右胆経と左肝経に虚証反応。

 最初右胆経の虚証反応が大きいので右胆経の支配領域で右肝点穴 (仮称穴で真横にして第10肋骨の上際)に皮内円皮鍼(皮内針)を処置後、関連実証経絡に瀉法の処置。自宅では実証経絡となっている各指を回し揉みして自己管理を行って貰う。
(実証経絡となっている指を回し揉みするだけで毫鍼や低出力レーザーを照射したと同じ効果を引き出すことが出来る) 治療して2日後に下痢が改善される。一ヶ月〜二ヶ月に一回、予防で治療続けている。よく寝られて食欲もあり便通も快調。体力も充実している。

 以後の経絡診断における実証経絡と虚証の関係は、

1右三焦経・左肺経・右肝経・左胆経が実証で左胆経と表裏の左肝経に虚証反応。左肝経の中都穴に皮内円皮鍼(皮内針)を処置。関連する実証経絡へ瀉法の処置。

2右小腸経・左心包経・右腎経・左膀胱経が実証で左腎経に虚証反応。左腎経の太谿穴へ皮内円皮鍼(皮内針)を処置。関連する実証経絡へ瀉法の処置。

3右大腸経・左肺経・右肝経・左胃経が実証で左肺経と表裏の左大腸経に虚証反応。左大腸経の上曲池穴に皮内円皮鍼(皮内針)を処置。関連する実証経絡へ瀉法の処置。

 1.2.3にはそれぞれ異なった経絡上の変化が出てい ます。これらはその時々における身体の営みに比例した経絡上における気(エネルギー)の変動であり、治療においては身体がその時必要としている要求を理解して、経絡間に生じている気の過不足を是正して本来の円滑な循環を取り戻させるようにしなければなりません。
 

 

 

症例二 大腸癌の手術後リンパに転移している女性、63歳。
 右足の大腿部が疼いて寝られず来院。3回目に左大腸経の虚証反応が出ていたので、左上曲池穴へ虚証の皮内円皮鍼を施す。翌日より痛みが次第に少なくなっていく。2ヶ月すると左大腸経の虚証反応が消えて左肝経に虚証反応出現。左肝経の経穴で曲泉穴へ皮内円皮鍼を置鍼。接続経絡を瀉して気の過不足を調整する。その後二ヶ月で左肝経の虚証反応も正常な値となる。病院でも経過と腫瘍マーカーの値がよいので様子を見るとのこと。以後体調は良い。 

 

症例三 子宮癌全摘。一年前。
  子宮癌摘出一年後、左足の鼠径部より足先まで2倍位に腫れる。鼠径部リンパが腫れて、肺に影がある。胸部と右肋骨部と下腹部には常に違和感を伴っている。抗ガン剤の処置は行っていない。
 

 1回目の治療で実証経絡、右小腸経・左心包経・右腎経・左膀胱経。虚証反応は左膀胱経と表裏の関係にある左腎経に出ている。処置は左腎経の太谿穴へ皮内円皮鍼(皮内針)。各実証経絡への瀉法の処置。毎晩身体がきつくて寝られなかったが治療後は良く寝られた。少し左足の腫れが引いてきた。

 2回目の治療3日後、胸部と右下腹部に違和感がある。実証経絡右小腸経・左心経・右腎経・左膀胱経。左心経と表裏の関係にある左小腸経に虚証反応。処置は小腸経の左天井穴へ皮内円皮鍼(皮内針)。各実証経絡への瀉法の処置。

 2回目の治療より5日後、ほとんどの違和感が解らない程度に消失。左足の腫れもかなり引いている。

 一ヶ月後来院。左天性穴へ皮内円皮鍼(皮内針)の置鍼が3日前に取れて自覚的には左鼠径部の痛みが少し残っている。左足の腫れは完全に引いている。胸部の影も無くなっていたとのこと。実証経絡と虚証の反応は2回目の経絡診断と同じ。左天井穴へ皮内円皮鍼(皮内針)を再度処置する。自宅での自己管理として実証経絡が支配している指を回し揉みして気の循環を整える指導を行う。さらに一ヶ月後、住居が遠方なので電話にて確認をとる。体調も段々良くなっている様子。皮内円皮鍼(皮内針)は続けて置鍼しておく指導を行う。重症の場合、虚証反応が消えるのに数ヶ月かかることがある。

 

  天井穴は三焦経の経穴と教科書ではなっているが、肘より対幹部への支配領域は三焦経と小腸経が逆になっている。取穴は肘を90度に屈曲して肘頭より一横指半〜二横指で上腕三頭筋腱の橈側傾斜に取穴する。

小腸経として取穴

       

症例四 2年癌にて前右乳房、右脇のリンパ、右肩リンパ摘出。
 術後右腕リンパ浮腫が見つかる。抗ガン剤は続けるように言われたが身体がしんどいので途中で中止して予防として健康食品を飲用している。来院時は身体の怠さを訴える。 首筋の張り感、左股関節外転痛、左腰痛あり。

 経絡診断
 最初右三焦経・左肺経・右肝経・左胆経が実証で左胆経と表裏の関係にある左肝経に虚証反応。左肝経の中都穴に皮内円皮鍼(皮内針)。治療後ステロイドホルモンを止めても左足の違和感が悪くならなかった。左肝経の虚証反応が消えて、次に右小腸経・左心包経・右腎経・左膀胱経が実証で左膀胱経と表裏の関係にある左腎経に虚証反応が出る。左腎経の太谿穴に皮内円皮鍼(皮内針)。関連する実証経絡に瀉法の処置。2週間の旅行をしたが疲れが少なかった。左腰と股関節にかすかな違和感を感じる。治療前より比べると違和感が20%位残っている。
 最初の治療より2ヶ月後実証経絡と虚証反応に変化が出て、右小腸経・左心経・右腎経・左膀胱経が実証となり、左心経と表裏の関係にある左小腸経に虚証反応。左小腸経の支配領域である天井穴に皮内円皮鍼(皮内針)。治療後ほとんど身体の違和感を感じなくなった。一ヶ月後の治療で左小腸経の虚証反応が残っているので前回と同じく左小腸経の天井穴に皮内円皮鍼(皮内針)。気も円滑に流れている。その後左腎経の虚証反応が再度出る。次に右肺経に虚証反応。最後に右心包経に虚証反応と変化した。腫瘍マーカーは右肺経の虚証の処置を行った後の経過で正常範囲となる。以後体調良好。

  治療日      経過

H16:1:22日 初診、左肝経に虚証反応。左中都穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)。
   1:29日 左肝経の虚証が消え、左腎経に虚証反応。左太谿穴に皮内円皮鍼。
   2:12日 左小腸経に虚証反応。左天井穴に皮内円皮鍼。体調良好。
   2:26日 左小腸経に虚証反応。左天井穴に皮内円皮鍼。体調良好。
   3:25日 左小腸経に虚証反応。左天井穴に皮内円皮鍼。体調良好。
   4:28日 再度、左腎経に虚証反応。左太谿穴に皮内円皮鍼。体調良好。
   5:28日 右肺経に虚証反応。右孔最穴に皮内円皮鍼。体調良好。
   6:23日 右心包経に虚証反応。右郄門穴に皮内円皮鍼。体調良好。

 

 

症例 五 前立腺癌 S12年生まれ。
 一ヶ月前より急に頻尿となる。精密検査を進める。検査の結果前立腺癌。リンパ節や骨などには転移していないとの結果を得る。東洋医学的治療と同時にホルモン療法を受ける。東洋医学的治療開始より8日目以降は尿量、トイレの回数正常に回復。残尿感なし。

 <治療処置>
一回目
の治療
左肝経の曲泉穴へ皮内円皮鍼。右曲泉穴へ円皮鍼。右円皮鍼を揉む指導。二日間は尿の回数も少なくなっていたが、三日目より20分おきに尿が出だす。
二回目
の治療
左腎経に虚証反応が出てきている。左腎兪穴へ虚証の皮内円皮鍼。右腎兪穴へ左右のバランスを取るために実証の円皮鍼。右腎兪の円皮鍼を揉む指導をする。結果は夜間にトイレに行かなくなった。
三回目
の治療
右肝経が右胆経より僅かに虚証反応が出ている。両側肝経の曲泉穴へ皮内円皮鍼。腎経が膀胱経に比して虚証傾向なので加えて任脈の中極穴へ皮内円皮鍼。結果は食欲が出だし、身体が軽く、トイレの回数正常。残尿感も全くなし。(8日目)

 三回目の治療より約40日同一の反応が出ているので3回同じ処置。経過良好。治療開始より45日目の検査にて前立腺腫瘍マーカー(PSA)の値36.9より0.5となる。PAの基準範囲(3.0以下)。他の血液学的検査異常値無し。癌発見時に前立腺30g⇒現在20g

  検査の値は正常となっても虚証反応があり。虚証反応が消えるまでは気(エネルギー)のバランスを整えなくてはならない。

八回目
の治療
左肝経と左腎経のみに電気抵抗が低い虚証反応が出ている。左腎兪穴へ皮内円皮鍼を処置。調子よし。
九回目
の治療
左肝経の虚証反応消え、左腎経にのみ虚証反応あり。残尿感が出るので、左腎経の大赫穴へ皮内円皮鍼を置鍼。


 これらの処置は赤羽氏が開発した特殊鍼の皮内鍼のお陰で可能となっている治療となっています。この皮内鍼の作用は鍼尖が電極として作用し、一定の支配領域を持つ経絡に発生している損傷電位を正常電位に変換していると考えられます。処置を行うと同時に各種違和感が瞬時に消失してしまいます。この皮内鍼は虚証領域にしか有効でなく、身体には一置鍼が原則となります。複数置鍼は効果が相殺します。上記症例は前後のアンバランスを整える特例と考えて頂きたいと思います。

 

 適切なる経絡の支配領域への虚証の処置により、たとえ癌が神経に波及して神経因性疼痛を惹起したものであろうと、癌が血流・リンパ流を遮断し,浮腫をきたしたもの(リンパ管腫など)であろうと鎮痛効果が期待出来る絡繰りが存在しています。そして我々の処置は生体の営みを鈍らせるのでは無く、正しい気の循環を取り戻させ、敏感にしながら鎮痛させる技術となっています。バランスが取れると言うことは自然治癒力が正常に機能していることに結びつくことになるのです。

 癌が転移した場合や腫瘍マーカーが高くなっている場合に必ず出ている経絡循環を述べました。癌を新たに発生させないようにするにはまずその環境を改善することが第一となります。つまり気を正常循環に戻さないでいるとどんな化学療法を行っても不安定な材料は残り再発してしまいます。そこで我々の治療の中心は細胞臓腑が正しい営みを行っているときの気の循環に戻す処置を行います。これらは簡単な東洋医学的処置にて可能となります。このように癌を治すにはまずガン細胞が定着しやすい環境を除去しておく必要があるのです。

 そして平行して、西洋医学の化学療法を受けて頂きたいと存じます。我々の治療を受けていただくと必ず誰もが経験する違和感やしんどさを感じることなく乗り越えることが出来るからです。過去のデーターで癌を克服した方達は皆さん抗ガン剤を必要に応じて受けられています。そしてどれだけ癌を再発させにくい環境に整えられたかにかかっているように思えるのです。

 ガン細胞があっても気(エネルギー)の循環は健康な循環に戻しておく必要があります。正しい気の循環に戻す自己管理を行うことが自己の免疫力を取り戻させる唯一の方法なのです。我々の所では再発した方が結構いらっしゃいますが不思議と完治したり、進行が止まり共存している方が元気に生活されています。必ず治るとは言えませんが、現在の身体環境を最高の状態に整えておく指導を行います。

 

 エドガー・ケーシーのリーディング
「小腸の絨毛にある中心乳ビ管でリンパの二分の一が生産され、他は肝臓で作られている」と述べています。確かに癌になりやすい体質においての経絡の異常反応は肝臓や小腸に直接影響する肝経に必ず生じているのです。基礎医学の研究を待ちたいと思います。

 

 現在でも痛の機序は明らかなものとして解明されていないようですが、我々の研究では、痛みは経絡間の電位の過不足によって も発生していることが解ってきています。神経組織細胞が損傷していれば当然痛みがあるのですが、経絡間の電位の過不足を調整するだけで痛みは簡単に消失してしまうものなのです。西洋医学により仮説経絡に対する追試を切に望む次第です。

 

            

中都穴 

 

シカゴの青木先生よりの報告

私も、以前近藤先生からのメールのなかにあった、浅見先生の刺絡療法の事を知って、早速自分なりに追試してみました。

確かに、効く時は、瞬時に効きます。一番印象に残っているケースは、92歳男性のC型肝炎と28歳女性の子宮がんです。(この症例は、去年、近藤先生にお酒を飲みながら直接話しをさせていただいたことがあるんですが。)

じつは、どちらも、先ず,気の誘導をしてから刺絡をしたわけなんです。一応私もまがりなりにも新経絡療法が基本ですので。前者も後者もどちらとも、右の肝と左の胃がありこれを治療した訳です。(前回の天心メールでその肝経の多い事を述べました) 92歳の方は、お年がお年だけにインターフェロンの化学療法が危険だとの病院側の判断で、治療不可能ということでの来院。後者の女性は、日本でもTV番組になっている『ER』のモデル病院である、シカゴのクック郡病院で子宮癌直径2cmということで、子宮摘出手術1週間前の状況でしたが、将来子供が欲しいとの事で、手術を拒否しての来院。(こういう患者さん滅多に無いんですが、本人がどうしても手術を拒否するというので、治療の同意したわけです。病院の担当医がカンカンになって怒ったらしいですよ、鍼なんかするなって!そういう、狭間に入りたくないんですけど、治療させていただきました)

前者は、週一の割合から、次第に週2回のわりで、右肝と左胃だけの刺絡を試みたところ170あったASTが、70以下に落ちました。また、毎回治療後には、気分が良いとのことで、根気よく来院されていました。後者は、刺絡+円皮針(右子宮穴)をしたろころ、4ヶ月で子宮がんすべて解消。この患者さんの場合、刺絡後は、完全に快感の世界にひたることができまして、麻薬をやっているように全てが軽くなると何時もはなしていました。

実は、この2例からもお分かりのように、浅見先生の刺絡療法の多くの場合(全てではないでしょうが)、両側の指を刺すことが多いのですが、新経絡療法を加味して片方だけで効きます。でも、別側に虚があった場合を考えると、機械的に両側処理していいものか、疑問があります。

 

岩崎先生へ

 

現在、新経絡治療(バランス鍼法)も虚証領域と実証領域とを重くみて治療方針を決定しています。例えば、左肝経に虚証反応があるる場合には、左の肝経の経穴に皮膚接触固定鍼(皮内針)を施し、しかる後、右肝経の経穴に実証の処置として円皮鍼を施し、揉んでもらう処置を講じまず。これは、素問の巨刺法の理論にて左右差を整え円滑な気の循環を急速に回復させる手技となります。癌疾患等も左右差のアンバランスが顕著に見受けられます。私の場合には内臓体壁反射を多く見つめて来ましたが、現在は本治法による経絡操作に力点を置いています。それは、正確な経穴を取穴できれば、内臓体壁反射のポイントに取穴するのと同じ効果が得られるからに他なりません。

現在抱えている患者さんの一人は右乳癌で4.5センチでした。

証は、
@右三焦経・左肺経・右肝経・左端渓が実証で右端渓と左肝経に虚証反応。
A右三焦経・左心包経・右腎経・左胆経が実証で左三焦経の虚証反応。B右大腸経・左心経・右脾経・左胃経の実証で左脾経の虚証反応。C右大腸経・左肺経・右肝経・左胃経の実証で右肺経・左大腸経の虚証反応。の中で一番主張している経絡を整えていきました。当然@が出たりAが出たりしたら、その時点で一番主張している経絡を整えます。

 

虚証度の大きいポイントから整えます。
例えば、右胆経の虚証度が左肝経より大きい場合、右胆経の陽陵泉穴に皮膚接触固定鍼(皮内針)、左胆経の陽陵泉穴に円皮鍼を処置。左肝経の虚証度が大きい場合には
左肝経の中封穴に皮膚接触固定鍼(皮内針)、右肝経の中封穴に円皮鍼を施す処置を行います。

ですが、この上記パターンは癌になりやすい基礎的体質を整える意味があります。この患者さんは上記組み合わせで4.5センチが3.5に小さくなりましたが、劇的に変化したのはBの時でした。私の場合、抗がん剤の投与は奨励しています。「身体を整えたらしんどくないから」と言って。Bの経絡バランスの時微熱が続いていました。2週間後には小さくなってきたので手術の予定でした。いざ手術になった時には癌が完全に消えていました。医師はこちらで治療していることなど知るよしもありません。結果は、心配だからリンパだけ取り除きましょうとなって現在仕事に復帰されています。現在は、忘れた頃に予防で来院される程度です。

左肺に源発の癌があり右肺にも転移していた患者さんの証は右大腸経・左心経・右脾経・左胃経が実証で左脾経に虚証反応があります。この証は右乳癌が急速に消えた経絡バランスと同じです。一年半以上も同じバランスとなっています。月に一回の来院ですが、何時も調子よいですと言われます。右に転移していた癌は完全に消えています。左の癌もレントゲンでは薄くなっていますが依然と存在しています。大きくなることはありません。

処置は左商丘穴に皮膚接触固定鍼(皮内針)を施し、右商丘穴に円皮鍼です。

 

膵臓に4センチの癌が出来た患者さんは右大腸経・左肺経・右肝経・左胃経が実証で右肺経に虚証反応がありました。処置は右肺経の太淵穴に皮膚接触固定鍼(皮内針)と左肺経の太淵穴に円皮鍼です。3回目の治療後2週間後来院されCAが400あったのが200に下がっていました。この方は抗がん剤を投与された日に来院されます。抗がん剤を投与されてもしんどくなく、体調がよく、食事も旺盛です。

 
 

右腎臓癌にて来院された患者さんは、
上記経絡とは証が反対で(腎臓癌の場合にこの証は3例確認しています)
右胆経・左肝経が実証で右肝経に虚証反応があり、右中封穴に皮膚接触固定鍼(皮内針)を施し、左中封穴には円皮鍼を処置して、同じ証が続き一年半で完治しました。当然、病院の検査は続けさせました。

ですが、大腸癌や肝臓転移の場合には乳癌の時に現れる@ABCを考慮しなければなりません。特にBとCの影響は見逃せません。Bの場合にはリンパと関係する左脾経が出ています。反対側の右脾経は肝臓の右葉と繋がっています。さらに腸の疾患にも深く関連しています。秘蔵がどのように影響したのか興味があるところです。こうした考え方は病巣部にターゲットを絞るのでは無く、癌が発生しやすい大本を割り出す事に繋がります。ですから、病巣部と関係ない経絡現象が免疫力をアップし、癌の成長を抑える事が出来たと見ることが出来ます。

 
 
 
 

 

 

 

 

■狭心症・心筋梗塞■

 

  脂肪性の沈着物あるいは何らかの異常によって動脈が狭くなると、血流が阻害されて心筋に十分な量の血液と酸素が供給されなくなります。心臓への血液供給が不足すると(虚血)、狭心症が起こります。初めは運動をしているときや感情的な緊張があるときに起こりますが、これは心臓が普段より激しく働き、より多くの酸素を必要とするためです。動脈に狭窄が起こって血流が減少すると、こうした酸素の需要量の増加に応じることができません。動脈のかなりの部分(普通は70%以上)がふさがると、心臓の酸素需要量が最も少ない安静時でさえも狭心症が起こるようになります。

 心筋梗塞は、心臓の血流が停止して起こる疾患です。 心筋梗塞の原因は喫煙や高血圧で、血管の動脈が硬化し、梗塞を起こします。急性と慢性があります。

 

心臓発作(心筋梗塞)とは、心臓への血液供給が突然ひどく減少するか、あるいは途絶えたために、心筋が酸素の供給を受けられずに壊死する病気で、救急治療が必要です。

心臓発作が起こるのは冠動脈の閉塞によって心臓の一部への血液供給が大幅に減少したり途絶えたときです。このような状態が2〜3分以上続くと心臓の組織が壊死します

 

 経絡診断

 この心筋虚血になる時には左心経に実証反応が出ています。経絡に実証反応が出ていると組織の営みは低下します。そして左心経は心臓の栄養血管を支配しています。経絡診断では右小腸経・右第二大腸経・左心経・右脾経・左膀胱経・左第二胃経に実証反応が出ています。

 処置として、急を要する場合には左手の小指を回し揉みします。少し落ち着いてきたら、左心経の経穴に円皮鍼を施し揉む指導を行います。

 この様な狭心症や心筋梗塞になる環境は左心経に実証が急に発生する場合と、右心経や左小腸経や左脾経に虚証反応がある場合に発生しやすくなります。左心経の実証反応だけで症状が出る場合は血流が阻害される突発的原因が考えられます。また不安神経症となっている方にも発生しやすい環境となっています。右心経や左小腸経や左脾経に虚証反応がある場合は複数の体調的要因が加わり、次第に心臓に影響が及んだと考える必要があります。

 

■拡張型心筋症■

 拡張型(うっ血性)心筋症とは、心室が拡張して体に必要な量の血液を送り出すことができず、結果として心不全を起こす1群の心筋障害です。

 確定できた拡張型心筋症の原因として最も多いのは、広範囲にわたる冠動脈疾患です。このような冠動脈疾患では心筋への血液の供給が不足し、心筋は永久的な損傷を受け壊死します。結果として、心臓は力強く拍動できなくなります。壊死した心筋は線維化(瘢痕[はんこん]化)した組織に置き換わります。残った損傷していない心筋は失われた機能を補おうと、伸びて厚くなります。心筋は伸びれば伸びるほど、より力強く収縮しますが、これには上限があります。限界を超えると伸長や肥厚では十分に機能を補うことができなくなり、拡張型心筋症となって心不全を起こします。

 ウイルス感染症による急性の心筋炎が拡張型心筋症の原因となることがあります。このような心筋症はウイルス性心筋症と呼ばれます。

 拡張型心筋症の原因にはほかに、長期間あまりよく調節されていない糖尿病や甲状腺疾患などの特定の慢性的な内分泌障害があります。また、特にアルコール(摂取量が多く、栄養不良でもある場合)、抗うつ薬、一部の化学療法薬などの特定の薬物の使用によって拡張型心筋症が生じることもあります。まれに、妊娠や関節リウマチなどの結合組織障害によって拡張型心筋症が生じることもあります。

 

 経絡診断

 拡張型心筋症における経絡診断では左心包経に虚証反応が見られます。左心包経は心筋を支配している経絡となっています。実証反応は右心包経・左三焦経・右胆経・左腎経で右三焦経に虚証反応が在ることもあります。右三焦経の虚証反応が解消したら左心包経の虚証反応 と実証経絡とのアンバランスを整えていかなければなりません。

 

 

 

 

 

 

 

■心臓肥大■

 心臓肥大は心臓が通常より大きくなった状態を言い、主に高血圧が原因とされています。健康診断や成人病検診等で、胸部のエックス線検査を行った際に、心臓肥大が発見されることが少なくありません。

 心臓は、ちょうどポンプのように働いている臓器で、心臓の筋肉(心筋)が収縮することにより、全身に血液を送り出しています。ところが、心臓から血液を送り出すとき、高血圧等により心筋に通常より高い負荷がかかると、この負荷に打ち勝つために、心筋が厚くなり心臓肥大を起こします。さらには心不全をおこすことにもなりかねません。

 全身から送られてきた血液は右心房を経て、右心室から肺に送られ、酸素を受け取って左心房から左心室に流れ込み、全身へと送り出されます。血液を送り出す原動力は心臓の収縮力です。血液を送り出す力を増すために、左心室の壁と心室中隔が肥大をおこしています。心臓肥大のうち、弁が閉まらない状態(閉鎖不全)の場合は、障害のある弁の下流から上流にかけて血液が無駄に逆流してきますから、上流の部屋も逆流する分だけ余計な仕事をしなければならなくなります。心臓の部屋に容量負荷がかかると、その部屋は肥大や拡張することによって、仕事をこなそうとしますが、それが長く続くと、ついには仕事をこなせなくなります。

 

 経絡診断(経絡診断は本態性高血圧の証と同じ)

 本態性高血圧における経絡診断では
1−右小腸経・右第二大腸経・左心経・右脾経・左膀胱経・左第二胃経に実証反応があり右心経・左小腸経に虚証反応が出ています。
2−右小腸経・左心包経・右腎経・左膀胱経が実証で右腎経と表裏の関係にある右膀胱経に虚証反応が出ています。
本態性高血圧の治療はこの右心経・左小腸経における虚証反応や右膀胱経の虚証反応を中心として虚実の過不足を是正していくと改善します。

 心臓肥大における経絡診断では本態性高血圧を整える経絡と同じ証となっています。また肥大が進行すると右三焦経・左心包経・右腎経・左胆経が実証で右心包経に虚証反応が出てきたりしています。まず後発の右心包経の虚証と左心包経の実証としての証を整えた後、右心経・左小腸経における虚証反応を整えていくと心臓肥大は改善する経過を辿ります。

 

心房と心室の中隔欠損

 心房と心室の中隔欠損とは、心臓を右側と左側に区切っている壁(中隔)に穴がある異常です。心房中隔欠損は、心臓上部の血液を受け取る室(心房)の間に生じます。心室中隔欠損とは心臓下部の血液を送り出す室(心室)の間に生じます。これらの穴は、血液の左‐右シャントを引き起こします。心房中隔欠損の多くは自然に閉じ、特に生後1年以内に閉じます。心室中隔欠損の多くは生後2年以内に閉じます。  

 先天性心疾患の約30%を占め最も頻度の高く、自然閉鎖は約20〜30%にみられ、病気の程度は穴の大きさと位置によって違ってきます。軽度のものでは雑音があるだけで無症状なので、感染性心内膜炎の予防に注意するだけで運動制限の必要はありませんが、中程度以上になると、発育障害・呼吸困難・易疲労感・心不全等の症状があり、放っておくと肺動脈の動脈硬化をおこしたり、大動脈閉鎖不全をおこし危険な状態になることがあるので手術が必要とされています。

 

 経絡診断

 心房と心室の中隔欠損における経絡診断では左肝経に虚証反応が出ています。証は右肝経・左胆経・右三焦経・左肺経に実証反応があります。治療では上下で接続している左肺経の実証と左肝経の虚証の関係を整えていけば心房と心室の中隔欠損より引き起こされる各種障害は改善します。処置は左肝経の経穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を処置した後、各実証経絡へ瀉法の処置を施します。 

 

■不整脈(期外収縮)■

 

 不整脈は大きく分けて3つの種類があります。脈の遅くなる「徐脈」、速くなる「頻脈」、さらに、脈が飛ぶ「期外収縮」です。ストレス、睡眠不足、疲労などでも不整脈は起こりやすくなります。そういう意味では、だれにでも起こりうるものだと言えます。脈がたまに飛ぶ程度の人や、症状のない徐脈は心配のないことがほとんどです。また、運動や精神的な興奮によって脈が速くなる場合も心配ないようです。

 期外収縮における経絡診断

 脈が飛ぶ「期外収縮」における経絡診断の証は左腎経の虚証反応と上下で接続している左心包経の実証反応が出ています。「期外収縮」は本来、電気の生じる場所以外から早めに刺激が出てくるために起こる現象で、この刺激が心房から出る場合には心房性期外収縮、心室から出る場合は心室性期外収縮と呼ばれます。心房性期外収縮や心室性期外収縮が起きる時には心筋を支配している左心包経に実証反応が出ていて、上下で接続している左腎経の虚証反応とが経絡間に電位的緊張を引き起こしています。

 処置は左腎経の虚証反応に皮内円皮鍼(皮内鍼)を処置して各実証反応へ瀉法の処置を施します。各実証経絡は右腎経・左膀胱経・左第二胃経・右小腸経・右第二大腸経・左心包経となります。比較的簡単に改善する経過を辿ります。
 

 

 

症例 (M・I)69歳 男

 一年前心臓手術。左右の心房の間に穴があいていた。僧帽弁不全。入院中に軽い左脳梗塞。来院時は首筋や背中にかけて鉛が付いているように重い。術後より続いている。ふらつきも同じ頃よりある。視力の衰え、足の冷えで来院。 病院では異常なしと判断される。

 経絡診断では 当初、右心包経・左三焦経・右胆経・左腎経が実証で左三焦経と表裏の関係にある左心包経に虚証反応。左心包経のt門穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を処置。しかる後、実証経絡へ瀉法の処置。雪解けのように身体の違和感が解消し出す。約1ヶ月半、同じ反応が続く、首筋の違和感が残る。

 次に出てきた経絡反応は、右心経・左第二大腸経(示指橈側爪甲根部去ること一部)・右膀胱経・右無名指(右第二胃経)・左脾経に実証反応。左小腸経と表裏の関係にある左心経に虚証反応。左心経の霊道穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を処置。しかる後、実証経絡へ瀉法の処置。3ヶ月続く。全ての症状が消失して完治。