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■胃小彎部の潰瘍■

胃液の消化作用が重要な因子となる消化性潰瘍で、胃液分泌の攻撃因子と粘膜の抵抗因子のバランスが崩れることによって生じます。アルコール、コーヒー、香辛料などの機械的な刺激や、ストレス等で攻撃因子が強くなり、病気、血行障害、薬害、ストレス等で防御因子が弱くなると、バランスが崩れたりします。さらに近年、胃や十二指腸潰瘍患者にヘリコバクター・ピロリ菌が認められることから、この菌も重要な攻撃因子と注目されています。ほとんど小彎側に発生することが多く、40歳以上の男性に多く女性の2〜3倍位となっています。症状は体重減少、便秘、疲労感、貧血を伴い食後20〜30分に心下部から左肋骨弓下に疼痛を認め、便の鮮血反応、X線検査、胃カメラ等によって確診されることなります。
胃の小彎部に潰瘍が発生すると、東洋医学における経絡の支配領域では左右腎経のどちらかに電気抵抗が低い電気が流れやすい値として計測されます。左腎経に虚証反応が出ている場合、左腎経の支配領域中の通谷穴の直下が胃の小彎部になっていますので、虚証領域に施す皮内円皮鍼(皮内鍼)を通谷穴へ置鍼し固定すると左肋骨弓下の疼痛や、肩胛骨内側の痛み、左頚部痛、腰痛等が瞬時に鎮痛し、胃潰瘍と関連していた冷え症等が急速に改善されて行きます。
治療としては左腎経上に虚証があり左通谷穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)をした場合、右手三焦経・右小腸経・左心包経・右腎経・左膀胱経へ瀉法の処置を行います。
■十二指腸球部・胃幽門部の潰瘍■

十二指腸に起こる潰瘍。胃潰瘍と共に消化性潰瘍と呼ばれていますが、胃の幽門に近い球部に発生することが多く、胃潰瘍に比べて、反復発症が多く、若年者に多く発生し、胃酸過多の場合が多い病態となっています。精神的要因の関連が強く、過労、緊張の持続に際し発症しやすくなっています。胸焼け、げっぷ、空腹時に上腹部痛等が認められます。
十二指腸球部や胃の幽門部等の位置は経絡では右胃経の支配領域に属し、ツボで言えば十二指腸球部は梁門穴の直下に位置し、胃の幽門部は承満穴の直下に位置しています。潰瘍が発生すると潰瘍になっている経絡の支配領域には必ず虚証反応が出ていますので、右胃経で足の第2指にある井穴の測定に於いて電気抵抗が低下している反応を計測することが出来ます。処置は十二指腸球部が潰瘍となっている場合は左梁門穴に皮内円皮鍼を置鍼すると、施鍼と同時に十二指腸の痛みや、関連症候群の違和感が瞬時に消失してしまいます。
注意しなければならないのは、身体への処置は一穴のみの置鍼でなければなりません。重ねて右胃経上の支配領域にもう一個置鍼すると、せっかく一穴の置鍼にて鎮痛していたのに、もとの黙阿弥となり最初の痛みが出現することとなります。なぜなら皮内円皮鍼は電極として身体に作用し、損傷電位を正常電位に変換しているので、同一支配領域への過剰置鍼は効果が相殺することとなるのです。水面に一個の石を投げると規則正しいわだちが出来るのですが、二個投げるとわだちは干渉しあい不規則なわだちとなるのを考えて頂ければ理解出来ると思います。この効果は経絡が一定の支配領域を持っていて独立しているから起こりうる現象なのです。
治療効果においては皮内円皮鍼を一ミリしかない
経穴のポイントに正確に施鍼出来ると、潰瘍は急速に修復されて行きます。皮膚に接触するかしない位の鍼で鎮痛し、正常電位に変換された潰瘍の支配領域が電位を整えるだけで修復されだす経緯を辿ることとなります。現代医学の範疇では理解が難しいかも知れません。ですがそこには法則性と再現性が認められる以上、これらの法則を解明していくことは重要と言えます。薬や外科的処置によらなくとも電位を変化させるだけで組織は変化しだすのです。
十二指腸潰瘍の場合二通りの反応があります。虚証と実証での潰瘍です。潰瘍だから虚証とは限りません。再発を繰り返している場合、右胃経が実証となっている事が多い傾向があります。体癖としては左肩上がりが多く、左大腸経、右心経、左脾経、右胃経が実証で気を誘導すると左肩より右足へと移動が起きます。この場合は右足三里穴への一ミリ程度の円皮鍼を置鍼し揉む指導をします。
ここで問題なのはツボを正確に出すという操作です。我々は皮膚電気抵抗器の金属部分で通電しやすいポイントを出します。一ミリ程度ですが。これが所謂ツボです。経穴で在るかどうかは通電しているときの気の変化を感じ取り判断します。こうして出たポイントへ円皮鍼を置鍼した場合は痛くありません。そして有効に経絡上の気を誘導することが出来ます。このようなツボを出さずに円皮鍼を置鍼すると神経への刺激が顕著となり経絡変動以外に神経伝導が加味され正しい気の誘導が出来ず効果が半減してしまいます。
基本的に経絡の実証が読めないと処置はいいかげんなものとなってしまいます。十二指腸潰瘍の場合、実証としての潰瘍を上記で述べましたが、以前潰瘍を起こし傷跡があり何時でも荒れやすくなっている環境にあるとき実証として出現しています。
この状態が進み組織が明らかに損傷している状態が続くと虚証に変化して行きます。そのような時の経絡は、右大腸経、左心経、右脾経、左胃経に実証反応があり、井穴の皮膚電気抵抗を調べると右胃経に電気抵抗が低い電気が流れやすい値を計測することが出来ます。そうすると右胃経
の直下が潰瘍となっていて、経穴に反応が出ていますので皮内鍼を置鍼すると全身の症状が瞬時に改善するくらいの開放感と鎮痛効果が得られます。中途半端な潰瘍は実証のことが多く組織破壊が大きいと虚証としての潰瘍となっているものです。実証の確認には気を感じ取ることが必要で、虚証の確認には皮膚電気抵抗器が必要です。
(我々はこの両者の操作をポイントチェッカーで行っています)
■ポリープ■

ポリープというのは細胞の異常増殖によってできた突起物のことで、きのこ状の有茎性・亜茎性のもの、根もとが広い無茎性のものがあります。これらが胃の粘膜の最も上の層(上皮)にできたものを胃ポリープといいます。ポリープは自覚症状はほとんどありません。しかし、大きくなると出血したり、食べ物の通過を妨げるため吐き気や痛みを伴うこともあります。また、有茎性のポリープには良性のものが多いといわれていますが、無茎性のポリープには、悪性のものがみられることがあるので注意が必要です。西洋医学で胃ポリープの発生原因ははっきりとはしていません。びらんなどで粘膜の欠損が起きると、粘膜の上皮がその欠損を過剰に修復しすぎて、ポリープができると考えられています。これを過形成性ポリープといい、慢性胃炎をもつ人に多くみられます。
男性(K・W)首筋、背中、足の凝りで来院。問診時に胃の幽門部近くにポリープが在ることを告げられる。経絡診断では右肺経・左大腸経・右胃経・左肝経が実証で、右大腸経に虚証反応。処置は右大腸経上の上曲池穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を置鍼。関連する実証経絡に瀉法の処置。3回とも同一の経絡診断。3日間隔で3回の治療で当初の主訴は完治。しかし、右大腸経の虚証反応が残っていたので、一ヶ月に一度の治療を続ける。途中、経絡診断が右心経・左大腸経・右胃経、左脾経となり
左胃経に虚証反応。左胃経の解谿穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)。左右差が大きいと慢性となっている事が多い。右胃経への瀉法を中心に処置を行う。半年後の検査でポリープが無くなっていることが確認できた。
胃の幽門部周辺は右胃経の支配領域となっています。経絡診断において胃の幽門部周辺にポリープが在ると右胃経には実証反応が出ています。
右胃経の実証反応を中心として、上下、左右の関係を調べる必要があり、右肺経・左大腸経・右胃経・左肝経が実証となり、右胃経と上下で接続している右大腸経に虚証反応が出ている傾向が見られます。
さらに、右心経・左大腸経・右胃経、左脾経となり左胃経に虚証反応
が出ている傾向が見られます。疾病度は左右のアンバランスが一番大きく慢性疾患の傾向があり、次に上下のアンバランス、そして、表裏のアンバランスとなります。
虚証領域には損傷電位があり気の混乱が発生しています。こうした環境では虚証領域と上下、表裏で接続している経絡の支配領域には気の滞りが発生して実証反応が生じ、実証の疾病が生じます。気の循環が低下する実証反応は組織が荒れやすく営みも低下しやすくなっていますので、その結果としてポリープが出来やすい環境となるのです。
西洋医学では良性のポリープはあまり問題視されませんが、経絡診断においてはポリープが身体の何処にあっても頑固な実証経絡が存在していることとなり、首筋や肩や腰等に強い違和感を感じやすくなります。
大腸のポリープ等も左右の胃経の実証。左右脾経の実証。左右肝経の実証の時にポリープが出来やすく、ポリープの部位を支配している経絡上に出来ています。実証経絡にポリープが存在する場合、その実証経絡に対応する虚証経絡の確認が大切で、虚証経絡がある場合はまず、虚証経絡の処置を先にして、しかる後、実証経絡への処置へと手技を行う必要があります。
■逆流性食道炎■

逆流性食道炎は、胃の内容物(主に胃酸)が食道に逆流するために起こる食道の炎症です。食道は胃と異なり胃酸を防御する働きがないため、胃酸が逆流すると炎症が起きやすくなります。炎症が強いと潰瘍(かいよう)が生じて、出血や狭窄(きょうさく:せまくなること)の原因になります。逆流性食道炎ではほとんどが食道裂孔ヘルニアという状態になっています。食道裂孔とは横隔膜に空いた食道を通す穴で、胃と食道を固定し逆流を防止していますが、これがゆるむと胃の一部が胸部に持ち上がってきます。これが食道裂孔ヘルニアで、食道と胃のつなぎ目(接合部)のしまりも悪くなり、胃の内容が簡単に食道に戻りやすくなります。
経絡診断において食道と胃のつなぎ目の部位を支配しているのは左胃経となります。この部位に潰瘍が出来ると左胃経には虚証反応があり、実証経絡は右心経・左大腸経・右胃経・左脾経となっています。
症例(K・T)61歳 女
逆流性食道炎で食道に潰瘍あり。一ヶ月前に心配事が重なり胃の不快感で数日食べられないことがあった。喉の痛みと胃の痛みあり。頭を動かすとフワーッとなる。
経絡診断では左胃経に虚証反応あり。左胃経の解谿穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)。しかる後、実証経絡へ瀉法の処置。治療終了後より諸症状消失。一ヶ月後虚証反応も消えて完治する。
症例(M・K)38歳 女
逆流性食道炎で来院。経絡診断では二つのパターンが出る。
@右心経・左大腸経・右胃経・左脾経が実証。左脾経と表裏の関係にある左胃経に虚証反応。
A右心経・左小腸経・右膀胱経・左脾経が実証。右心経と表裏の関係にある右小腸経に虚証反応。
@の処置は左胃経の解谿穴に皮膚接触固定鍼(皮内針)。右胃経の解谿穴に円皮鍼。関連実証経絡の支配領域に瀉法の処置。
結果:体調は良くなるが胃が完全にスッキリしない。
Aの処置は右小腸経の養老穴に皮膚接触固定鍼(皮内針)。左小腸経の養老穴に円皮鍼。関連実証経絡に瀉法の処置。
結果:胃の調子が良くなり胃酸の逆流も無くなった。
■過敏性腸症候群■

過敏性腸症候群は、下痢や便秘を訴える人の40〜70%を占めるほど頻度の高い病気です。下痢に襲われるのを心配して、外出先では何も食べない、各駅停車の電車にしか乗れないそんな生活を何年も続けている人もいます。
検査をして異常値が出ないのに下痢や便秘、または、両方を交互に繰り返すなどの便通異常が長期間続くのが特徴です。1回の便量が少なく、多くの場合排便前の腹痛や残便感があります。腹が張る、腹が鳴る、吐気、嘔吐、ゲップ、放屁など、腹部に不快な症状がでることもあります。症候群といわれるように、いくつかの症状が集まっていることが多いものです。また、立ちくらみ、動悸、肩こり、疲労感、異常発汗、顔面の紅潮、いらいら、などといった自律神経失調症を合併することもしばしばあります。
年齢層は、思春期から40代を中心に50代までと幅広いのですが、60歳以上の高齢者には少ない病気です。最近は、小・中学生にも増えていて、特に進学校の生徒に多いといわれています。
症例 (H・O) 72歳 女
下痢が続き食欲がない。目が疲れやすく、首筋の凝り、朝起きると左手が痺れていることがある。過敏性大腸炎と診断され来院。
経絡診断では右心経・左大腸経・右胃経・左脾経に実証反応。右胃経と表裏の関係にある右脾経に虚証反応あり。右脾経の商丘穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)。実証経絡に瀉法の処置。治療と同時に目の疲れや首筋の凝りは消失。翌日より腸の調子は良くなる。起きがけの左手の痺れも消失。
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