■十二経絡における腰痛パターン■

 腰痛における西洋医学の整形外科での見解は椎間板突出による神経圧迫、神経周囲の癒着、神経の炎症等が診断基準となっている傾向があります。処置としては安静にしたり、牽引、湿布、神経ブロック療法、手術等があります。このように脊椎と神経の関係に腰痛の原因を求める傾向があります。最近では脊椎や神経と関係ない内臓疾患によるものも解って来ています。腎結石・尿管結石・膀胱炎・子宮内膜症・子宮筋腫・下痢・便秘・大腸疾患・小腸疾患・肝硬変・前立腺肥大・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・膵臓疾患・各種の腫瘍と多数あげられます。

 西洋医学では神経の損傷や圧迫や炎症等が痛みの原因のように考えますが、神経が関係している症例は5%以下と言えます。この様な現実に対して内臓疾患よりくる腰痛や筋群の炎症よりくる腰痛に対して痛みを発生している物質が出来ているのだとする見解も生まれています。

 東洋医学では組織の異常に比例して変化している経絡を重要視します。以前、韓国のキムボンハン学説が発表されると経絡の存在が証明されたと鍼灸界ではよろめきたった時期がありましたが、現在では西洋医学的検査の前に否定され誰も見向きもしなくなっています。ここに顕微鏡下で検証するレベルの低さがあります。形の中に経絡の存在を証明する時代は20世紀で終わらせたいものです。

 経絡は身体内にあって組織の異常を反映したり、組織を滋養したり、身体の変化を伝導したりしています。これらのエネルギーは内分泌と不可分に関連して電気的エネルギーとして経絡内を循環し、複雑なネットワークを形作っています。人間の表部角質層が絶縁されていることは知られていますが、身体内に絶縁された電気的ネットワークが存在している等と考える人はいません。ですが、経絡とはこの身体内で絶縁された電気的ネットワークなのです。

 身体内には大きく分けて正中線を境にして左右に十二経絡のネットワークが存在しています。これらの経路は独自の支配領域を持ち、互いに絶縁され、組織細胞の営みに影響を与えたり、組織細胞の営みを反映たりして循環しています。当然、独自の支配領域を持っていますので、組織細胞の営みの不具合によって経絡内の電位差にも違いが出てきます。この十二経絡間におけるネットワークの電位差の緊張こそが痛みの原因となっているのです。ですから、経絡間の電位差の過不足を整えるだけで痛みは簡単に無くなるのです。このように、経絡相互間における電位差の緊張を神経が感知して脳に伝達して痛みを知覚していると言えます。神経は単なる伝導路にしか過ぎないのです。 痛みイクオール神経と言う考え方の定説を卒業する必要があるのです。

 
 

@-肝経の腰痛 

 肝経の腰痛には虚証の痛みと実証の痛みがあります。
 西洋医学では原因が解明できず、心因性の腰痛と考えられています。

 

 肝経の支配領域の本経はほぼ腹部正中線の外方4横指にて卵巣を支配している子宮穴、期門穴のライン上。そして膀胱経の大腸兪穴、胃兪穴、肝兪穴の一行線上も肝経の支配領域となっています。右腎経と右肝経が共に虚証で右腎経が右肝経より虚証度が高い時に腎兪穴に虚証に処置する皮内円皮鍼(皮内鍼)が著効となります。右腎経のみが虚証で右肝経が実証の時には皮内円皮鍼(皮内鍼)を腎兪穴に使用できません。マイナスが出て著効は得られません。腎経の末梢で腎経だけに影響するに皮内円皮鍼(皮内鍼)を処置する方が著効となります。実証としての処置では右大腸経が実証で右肝経実証の時、右大腸経に円皮鍼(身体が1,3ミリ)を置鍼して揉む指導を行うと著効となります。右肝経に実証反応が出ていないと右大腸兪穴に円皮鍼を施しても著効は得られません。

 左肝経に虚証が在ると疾病では大腸疾患や膵臓の膵尾に問題があるとうつ病となります。

 身体症状では頭が重たく、寝付きが悪く、夕方には身体が怠く人と話すのもおっくうになります。また、コブラ返りのような足の痙攣が起きやすくなります。

 腰痛の症状は長く立っていたり、長く座って立つ折に痛みを感じます。また、腰の違和感を常に感じていたりします。体質的要素が大きい傾向があります。

 経絡診断では右三焦経・左肺経・右肝経・左胆経に実証があり、左胆経と表裏の関係にある左肝経に虚証反応があるパターンとなっています。皮膚電気抵抗器にて左肝経の井穴を測定すると電気抵抗が低く電気が流れやすい反応があります。または、鍉鍼を左肝経の井穴(第一趾爪の生え際中央より皮膚に2ミリ程度入ったところに取穴)にあてると身体内に広がるような開放感が受信されたりします。鍉鍼は身体に対し電極として作用し、虚証領域にある損傷電位を正常電位に変換するように働き、虚証領域が原因で生じた実証領域における過剰電位が下降して移動し虚実の差が解消されるように変化します。

  処置としては左肝経だけに影響する経穴(中都穴=経絡の章で経絡敏感人の肝経をクイック)に虚証なので皮内円皮鍼(皮内鍼)を一個だけ置鍼します。置鍼と同時に腰痛は瞬時に消失する経過を辿ります。整形では全く解らず処置のしようがない領域となっています。一個だけ一経絡に置鍼するのは電気を操作していることによります。同一経絡に皮内円皮鍼(皮内鍼)を二個置鍼すると相殺作用にて元の痛が戻ってしまいます。


 右肝経に虚証が在ると病証的には大腸疾患腎臓疾患(ネフローゼ)肝臓疾患胆嚢疾患などがあったりします。

 身体症状では朝が起きずらく、身体が怠く、若い人では登校拒否をしている人に多く見受けられます。

 腰痛の症状としては長く立っていたり、長く座って立つ折に痛みを感じます。また、腰の違和感を常に感じていたりします。

 経絡診断では右肺経・左三焦経・右胆経・左肝経が実証経絡となり右胆経と表裏の関係にある右肝経に虚証反応が出ています。

 処置としては右肝経のみに影響する経穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を置鍼します。加えて、各実証経絡へ瀉法の処置を加えます。瀉法の処置には低出力レーザー照射、毫鍼、灸、指回し等を行います。

 


 肝経における実証の腰痛では上下で接続している肺経に虚証反応が在る場合、脊椎管狭窄症(椎間板ヘルニア)が発生しやすい環境となっています。女性では肝経が支配している卵巣との関係で母指にばね指となっている人がいます。処置としては虚証経絡に皮内円皮鍼(皮内鍼)を置鍼した後実証経絡への瀉法を加えるとゆっくりした経過で改善します。実証経絡が無い場合は、実証となっている肝経の経穴へ円皮鍼を置鍼して揉む指導を行います。

 

 

A-三焦経の腰痛

 左三焦経に虚証があると疾病では喘息、アトピー性皮膚炎、月経不順、肥厚性鼻炎等があったりします。

 身体症状としては肩胛骨間や首筋の片方が凝ります。

 腰痛症状としては車のシートに座る姿勢がとても辛くなります。

 経絡診断は右三焦経・左心包経・右腎経・左胆経が実証となり左心包経と表裏で接続している左三焦経に虚証反応が出ています。

 処置は虚証となっている左三焦経だけに影響する経穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を置鍼します。ポイントは一穴の処置とします。加えて実証経絡に瀉法の処置を施します。処置と同時に腰から膝にかけてのツッパリが取れて腰痛は改善します。瀉法の処置には低出力レーザー照射、毫鍼、灸、指回し等を行います。

 腰痛が改善した後は腰痛を引き起こした因子を取り除かなければなりません。因子とは喘息、アトピー性皮膚炎、月経不順、肥厚性鼻炎等を指し、このような疾病になりやすい経絡上のアンバランスを整えておくことを意味します。

 

 

B-心包経の腰痛

 右心包経に虚証反応があると膠原病、心臓肥大、肥厚性鼻炎、花粉症、子宮筋腫、不妊症、喘息、腎臓疾患 、右中指のばね指等があったりします。

 身体症状:身体全体が重い感じが強く、胸が詰まりやすく不安感が出たりします。

 腰痛症状としては朝の寝起きに腰の重たさと怠さが伴います。起きて暫くすると腰痛症状はやや軽くなります。右心包経に虚証反応がでやすい傾向があります。また左心包経の虚証反応では膠原病、心臓肥大、喘息等は発生しません。

 経絡診断は右三焦経・左心包経・右腎経・左胆経が実証で右三焦経と表裏の関係にある右心包経に虚証反応が出ています。

 処置は虚証となっている右心包経の経穴の一穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を処置した後、実証経絡に瀉法を加えます。治療前に仰臥位で腰を浮かして貰い、虚証の処置を行った後、今一度腰を浮かして貰うと腰痛は消失しています。消失度はどの症状でも同じですが正確に経穴へ皮内円皮鍼(皮内鍼)をする必要があります。経穴は一ミリ程度しかありません。瀉法の処置には低出力レーザー照射、毫鍼、灸、指回し等を行います。腰痛は基本的に原因では無く、各種疾病における結果と考えるのが賢明です。「腰痛になる位にこじれた症状」と言わざるをえません。必ず腰痛を引き起こすにはそれなりのアンバランス因子が横たわっていることを考慮する必要があるのです。

 

 

C-胆経の腰痛

 胆経の支配領域は胆経の本経と脊柱の外方4横指にある腰眼穴や志室穴のライン上である膀胱経の二行線も胆経の支配領域となっています。

 右胆経に虚証反応があると右肝経との関係で脂肪肝があったり、癌になっていたり、癌の術後にも虚証反応が出ている経絡となっています。腎臓疾患の時にも虚証反応が出ている事があります。

 身体症状としては肝兪穴や胆兪穴を中心に重たさがあります。また、コブラ返りのような足の痙攣が起きやすくなります。

 腰痛症状は背中から腰全体に張り付いたような緊張と痛みが出ます。

 経絡診断 と処置:右胆経・左肝経・右肺経・左三焦経に実証があり左肝経と表裏で接続している左胆経に虚証反応が在る場合。右肝経・左胆経・右三焦経・左肺経に実証があり右肝経と表裏の右胆経に虚証反応が在る場合とがあります。共に、虚証経絡である胆経の経穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を一個だけ置鍼して、しかる後、各実証経絡への瀉法の処置を行います。瀉法の処置には低出力レーザー照射、毫鍼、灸、指回し等を行います。胆経支配の臓腑に関連した腰痛ですと瞬時に鎮痛したりします。

 但し、虚証領域が胆経支配の臓腑の疾病でない場合があります。腰椎の2〜3番の横突起の回りが肥大している脊椎の場合がこれにあたります。この時は膀胱経の二行線上(4横指)の最も肥大しているポイントに皮内円皮鍼(皮内鍼)を置鍼します。腰眼穴に反応が出ている傾向があります。例えば右胆経に虚証があり右腰眼穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を施したら、右腰眼穴と左右対称にある左腰眼穴へ瀉法の処置を行います。加えて右腰眼穴と前後に位置する腹部肝経(任脈より4横指)のポイントに瀉法の処置を行います。左右・前後のエネルギーバランスを取ると瞬時に腰痛は改善します。

 この経絡バランスに於いて虚証が無い場合には横突起先端よりやや外方(督脈より4横指)のポイントに円皮鍼(針体が1.3ミリ)を置鍼して揉んで貰う指導をします。力仕事をして腰痛が度々起きる人では横突起の先端が肥大しているものです。円皮鍼の処置後、鍼を揉んで貰うと簡単に腰痛は改善してしまいます。これらは横突起の先端が肥大していることにより横突起に起始、停止している筋群の緊張が弛緩することにより得られる鎮痛効果となります。 

 

D-小腸経と心経の腰痛

 小腸経の支配領域は小腸を第一に支配し兪穴は小腸兪穴で仙骨の中にあります。腎臓や膀胱と密接に関係を持っています。

 左小腸経に虚証があるとクローン病テンカン幻聴本態性高血圧等の疾病時に出ている反応となっています。左心経に虚証や実証があると不安神経症が出ていたりします。右心経に虚証反応が在る場合は本態性高血圧があったり、内分泌の脳下垂体の変化が大きく更年期障害が出ていたりします。右心経に実証反応があっても目眩があったりする更年期障害が見受けられます。

 身体症状では首筋の左右に凝り感を自覚し、脊椎が詰まりやすく手の第一関節が腫れたりします。後頭部や目が疲れやすくみぞおちが詰まりやすくなります。

 腰痛症状は坐骨神経痛のような症状となります。

 経絡診断と処置では右小腸経の虚証でも左小腸経の虚証でも坐骨神経痛のような腰痛となります。これらは左右小腸兪穴における電位差が大きくなっているから起きている腰痛となっています。小腸兪穴の直下の筋群にあっては虚証の在る側は筋群が弛緩し、実証となっている側の筋群は動きが悪くなっています。当然、筋群の変化は坐骨神経にも影響を及ぼすこととなります。治療としては虚証となっている小腸経の経穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を処置します。但し、肘から体幹部における経絡で三焦経と小腸経とが教科書と異なり逆となっています。つまり、三焦経の天井穴、肩髎穴のラインが小腸経のとなります。よって、取穴においては三焦経の天井穴を小腸経として皮内円皮鍼(皮内鍼)の処置を施します。 処置と同時に腰痛がかなり改善します。しかる後、関連実証経絡へ瀉法の処置を加えますと8割以上が改善してしまいます。痛みが取れて腰痛が改善したからといっても小腸経に虚証が在った場合、虚証反応が消えるまで同一の治療処置を行う必要があります。小腸経の支配領域における組織の損傷が改善されて初めて腰痛が完治したと言えるのです。

 心経に虚証があり腰痛を訴える場合もあります。この腰痛は心経と表裏にある小腸経が実証となっている腰痛です。処置は虚証となっている心経に皮内円皮鍼(皮内鍼)を施した後、小腸経に瀉法の処置を施すと簡単に改善してしまいます。

 

E-腎経と膀胱経の腰痛

 腎経と膀胱経の支配領域を述べますと、腎経は体幹部では任脈の外方5ミリのライン上で子宮、膀胱、小腸、大腸、腎臓、膵臓、胃の小彎部、声帯等を支配しています。膀胱経は教科書に在るような胃兪穴や肝兪穴が通る一行線と志室穴や腰眼穴が通る二行線の他に三行線があります。飛揚穴、委陽穴、京門穴、魄戸穴を通るラインです。また膀胱経の一行線は肝経と吻合し、二行線は胆経と吻合しています。

 膀胱経に虚証があると腎臓疾患、膀胱疾患、網膜剥離なっていることがあり、腎経に虚証があると子宮筋腫、前立腺肥大、夜尿症、痔、腎炎、膵炎、胃の小彎部の潰瘍等になっていることがあります。

 身体症状としては虚証となっている腎経側の首筋の凝り感が伴い、仰臥位で膝を立てて外転するときに痛みを伴います。また仰臥位にて腰を浮かすと重たかったり痛みを感じます。膀胱経に虚証があると膀胱経上の首筋が凝り、目が疲れやすくなります。

 腰痛症状として腎経に虚証があると起床時に鈍い腰痛感を伴うことになります。膀胱経に虚証があると腎経と膀胱経が交差する督脈上の名門穴に痛みが出たりします。

 経絡診断と処置として腎経の虚証では腎経上の経穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)を処置します。例えば子宮内膜症では虚証側の腎経上の横骨穴に一穴皮内円皮鍼(皮内鍼)を施します。施鍼と同時に腰痛は改善してしまいます。腰痛が無くなっても虚証反応が消えるまでは治療を続けなければなりません。正確に経穴が取穴出来るようであれば足の経穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)をしても著効となります。体幹部への処置は直下の臓腑が明らかに異常を呈している時に使用します。すると組織の損傷が早く改善します。膀胱経が虚証の場合は飛揚穴、若しくは、昆侖穴の一つに皮内円皮鍼(皮内鍼)を処置します。腎臓疾患がある場合には虚証となっている側の京門穴に皮内円皮鍼(皮内鍼)の処置を行います。加えて虚証となっている時に発生している関連実証経絡へ瀉法の処置を加えます。

 

F-大腸経と肺経の腰痛

 肺経の支配領域は太陽神経叢のある中脘より呼吸器を支配して手の母指にいたります。大腸経の支配領域は肺経のエネルギーを受けて示指より始まり、絡穴より本経と別れて別行する正経は肺経をまとい体内を通って下腹部の大腸に至り、上行して胸部に至る支配領域があります。

 左大腸経or右肺経に虚証があると右扁桃腺肥大、S字結腸の大腸疾患、肝機能障害、貧血、甲状腺疾患、胸腺疾患右手母指ばね指等の疾病があったりします。
 
右大腸経or左肺経に虚証があると左扁桃腺肥大、肝臓疾患、大腸疾患、拒食症左手母指のばね指等の疾病があったりします。

  腰痛症状としては大腸経が実証としての腰痛と虚証としての腰痛があります。実証としての腰痛で右大腸経と左肺経が実証の時は右大腸兪穴に針尖が1,3_程度の円皮鍼を置鍼して揉んで貰う指導をすると簡単に改善してしまいます。 

 但し、右大腸経が実証で左心経が実証の時は右大腸兪穴に円皮鍼を処置しても顕著な改善は見込めません。この場合は右大腸経・左心経・右脾経・左胃経が実証となり左右で表裏となっている右脾経・左胃経の実証度が大きく、右脾経と表裏の関係にある右胃経の虚証or左胃経と表裏の関係にある左脾経の虚証を主体として治療を施す必要が出てきます。

 肺経に虚証反応が在る場合で 同側に於ける腰痛は椎間板ヘルニアを考えなければなりません。

 基本的には虚証が在ると虚証に対応する表裏・上下・左右における経絡の過不足を検証することが重要となります。表裏関係でアンバランスが発生している場合は疾病度が軽傷。上下の関係でアンバランスが出ている場合は中傷。左右のアンバランスが発生すると慢性疾患となりやすい傾向があります。

 椎間板ヘルニア母指ばね指等は上下のアンバランスとなっています。そして、肺経と上下で接続している肝経の実証度が大きくなっています。

 処置は肺経の経穴の虚証に対する皮内円皮鍼(皮内鍼)を一個処置した後、関連実証経絡に瀉法の処置を行います。

 

 

G-胃経と脾経の腰痛

 胃経や腎経や肝経が実証になると関連する組織の動きが低下します。そして、胃経や腎経や肝経の支配領域にポリープができやすくなります。虚証領域にはポリープはできません。また、ポリープができていると頑固な肩こりや腰痛の引き金になったりします。西洋医学ではポリープの存在を軽視しますが、ポリープができていると身体内では 極端なエネルギー(気)の過不足が生じ経絡循環に変化が起きます。そして、経絡循環が悪くなると組織細胞の営みにも変化が起き色々な疾病の原因となったりします。

 このように実証経絡があり虚証経絡が加わってくると腰痛は激しくなります。虚証の発生は実証領域の実証度をさらに大きくするように作用し、虚実の差は経絡間に電気的緊張を発生させ腰痛を引き起こします。例えば胃の幽門部に潰瘍が出来ると右胃経に虚証反応が発生します。このような環境では右吻門部にポリープが出来やすく、右胃経に虚証領域が発生したことにより、左右の胃経の支配領域に極端な緊張状態が発生して腰痛となってしまうことがあります。

 右胃経が虚証になると胃の幽門部、十二指腸球部の潰瘍左胃経が虚証になると胃の吻門部の潰瘍、糖尿病。右脾経が虚証になると肝臓右葉の疾患左脾経が虚証になるとヘルペスになったりします。また胃経と脾経における関係のアンバランスは腸の疾患と関係が深く、右脾経と左胃経が実証で左脾経に虚証反応が出ると耳鳴り右顔面痙攣が発生しやすい環境となります。

 処置は虚証領域に皮内円皮鍼(皮内鍼)を置鍼した後、接続する関連経絡への瀉法の処置を行います。また実証の胃兪穴や脾兪穴への毫鍼も有効となります。胃経と大腸経とに問題が在る場合には大腸兪への毫鍼も著効となります。

 

 

 

■足の痙攣■

  足がつるこむらがえりは、足の筋肉の痙攣で、ふくらはぎこむら)に起こることが多いので「こむらがえり」といいます。下肢では、太ももふくらはぎ筋肉多いのですが、足の裏がつる足の指がつる原因はさまざまで、全身の筋肉で起こり得ます。
 

 

 

 

■打撲・捻挫■

 東洋医学の古典に巨刺法、謬刺法なる気の調整法があります。簡単に述べると巨刺法とは経絡の支配領域にまで影響が及んだ疾患で、各経絡のセンターとも言うべき背部の兪穴にて調整します。右に虚証反応があるとその経絡の反対の兪穴を瀉し左右の気のアンバランスを調整し細胞臓腑の営みを快復させる手技です。
 この度ここで述べてみたいのは謬刺法に付いてです。この謬刺法にて改善される対象は身体内にあって経絡にまで気が浸透せず局所に気が帯電した状態の疾病を言います。具体的にはどの様な状態かと申しますと、外傷性疾患がこれに当たります。例えば右足を打撲したとします、この打撲の痛みを鎮痛させるには右足の打撲をしたヶ所と左右対称のポイントに対し打撲と同等の刺激を加えます。すると左に処置をしたのに右足の痛みは瞬時に消失してしまいます。外国人等はこうした処置を見て「オーマジック」とのたまいます。ですが東洋の不思議でもなんでもない単なる気(電気)の作用なのです。右の薬指をドアで詰めたら、左指をドアに詰めさせると右の薬指の痛みは消失してしまう理論があります。これらは人間のエネルギーが均衡をとりたがっているという法則に従います。人間も身体の中央の正中線を境に左右対称の造りとなっています。気の循環する経絡も正中線を境に基本的な流注として十二経絡が運行しています。
 そこで西洋医学の研究者に考えて頂きたいポイントがあります。右手の薬指をドアで詰めたら痛くなります、何が痛くしているのかと考えたら神経の炎症と答えが返ってくると考えられます。では右手薬指の痛に対し左手薬指へ同等の刺激を加えて右手の薬指の痛みが消えるのははたして神経のなせる技なのかと!痛みに対し神経至上主義の西洋医学では説明が苦しいかと考えられます。
 これらの作用は右手薬指にドアで詰めたことにより損傷電位が発生しますが、その左右対称のポイントにあらためて損傷電位を作ってやると生体に電気的均衡がとれ鎮痛したに過ぎないのです。このように鈍らせても生体内の電位を調整するだけで痛みという症状は鎮痛するものなのです。常日頃痛みは各経絡間の電位差を解除しさえすれば簡単に治るものだとのべていますが、こうした処置が気(エネルギー)の調整なのです。但し気の調整には生体を鈍らせる方法と完全円滑に調整するかの技術的相違はありますが、みな施術において解らないながらもこのような調整を行っているのです。西洋医学が東洋医学に注目するに値する理論がここに眠っているのですが。誰か注目して頂けますか。優秀な頭脳に期待したいものです。
 一般的には打撲、捻挫等の外傷性疾患は右にあれば同等の左に外傷と等しい刺激を加えることで簡単に鎮痛させる自己管理が出来るものです。同等の刺激とは軽く長く揉んでも同等の刺激となります。外傷性疾患の場合にはこのことを思い出しすぐ実行してみて下さい。簡単に痛みが鎮痛してしまいます。
 但し外傷性疾患であっても身体内に体質的な疾病と重なる場合は体質的疾患をも整えていく必要も生まれてきます。人間の小宇宙もバランスがとても大切なのです。

 

 

■ばね指■

 

 ばね指(指の屈筋の腱滑膜炎)は、手の指が曲がったまま動かない状態です。指を曲げるための腱の1つが炎症を起こして腫れると動かなくなります。正常なら指の曲げ伸ばしの動作とともに、この腱が周囲のさやの中を前後になめらかに動いています。ばね指では炎症を起こした腱はさやから出ることはできるので、指を曲げることはできます。しかし腱の腫れがひどくなると、さやの中に戻るのが難しくなるため、指が伸ばせなくなります。  


メルクマニュアル

 西洋医学の処置としてはステロイド懸濁液を結節部に注射します。圧痛は軽減しますが、病気の進行は止められません。テーブルの上に手を平らに置けなくなったり、指の曲がりがひどく手の機能が制限されている場合は、手術 という手段がとられます。筋膜は神経・血管・腱を包んでいるため、発病した筋膜を切除するのは困難です。デュピュイトラン拘縮は、筋膜の切除が不完全だと手術後に再発することがあります。

 

 新経絡治療(バランス鍼法)による経絡診断

 ばね指は女性に多い傾向があり、女性の場合、婦人科疾患との関連を見いだすことが出来ます。母指のばね指における経絡診断では、ばね指側の 肺経に虚証反応と上下で接続している肝経に実証反応が出ています。肺経と上下で接続している肝経の支配領域には卵巣があります。実証領域は気の循環が低下し組織の円滑な流れが阻害された状態となっています。このような実証領域には瀉法の処置(豪針・灸・低出力レーザー)を行うと処置後一過性ですが改善します。この瀉法の処置を持続させる方法として、左ばね指の場合では左肝経 で絡穴より足先の経穴に一ミリ位刺入する円皮鍼を貼り日々揉んで貰う指導をします。軽傷であれば時間とともに改善していきます。

 但し、軽傷の場合では上記処置にて改善したりしますが、身体内に虚証がある場合では多少処置が異なってきます。まず虚証の処置を施した後、瀉法の処置を行います。ですがほとんどの母指ばね指において ばね指側の肺経と対角にある肝経に虚証反応を確認することができます。

経絡診断 右母指のばね指の場合

※基本的にはばね指となっている指に虚証反応が出ています。

 @右三焦経・左肺経・右肝経・左胆経が実証で左肝経に虚証反応。
 A右大腸経・左肺経・右肝経・左胃経が実証で右肺経に虚証反応。

 @の経絡アンバランスが80%位の確率として出ています。 

 処置
 @の場合:虚証である左肝経の経穴(中封穴)に皮膚接触固定鍼(皮内針)を置鍼します。次に右肝経の中封穴に実証に対応する円皮鍼を置鍼します。加えて、関連実証経絡 である右三焦経・左肺経・右肝経・左胆経に豪針や灸を施す瀉法の処置を行います。右肝経の経穴に処置した円皮鍼を揉んだり、豪針で捻鍼しながら右母指ばね指 を動かして貰っていると次第に右母指の緊張が改善されコクコクしなくなります。この経絡のアンバランスは上下で接続している経絡エネルギーの過不足がばね指を引き起こしていると言えます。

 Aの場合: 虚証となっている右ばね指肺経の経穴に皮膚接触固定鍼(皮内針)を置鍼します。しかる後、実証経絡となっている右大腸経・左肺経・右肝経・左胃経に豪針や灸を施します。

※両方の母指がばね指になっているケースもあります。この場合には肺経と接続している左右の肝経のどちらが虚証か実証かを的確に確認することです。そして虚証となっている肝経と上下で接続している肺経の母指は痛くと瀉法の処置を施します。痛くとも指を揉みほぐすと改善してしまいます。

※ばね指は痛ければそこに豪針を施術する対症療法では改善しません。手術しなくとも経絡のエネルギーバランスを整えるだけで簡単に改善する疾病と言えます。

 ばね指は母指の他、中指に多く発生しています。 右中指がばね指の場合経絡アンバランスは右小腸経・左心包経・右腎経・左膀胱経が実証で左腎経に虚証反応が出ています。左腎経の経穴(水泉穴等)に皮膚接触固定鍼(皮内針)を置鍼した後、右腎経に豪針を捻鍼したり、円皮鍼を置鍼して揉んで貰うと上下で接続している心包経支配領域の右中指のばね指は簡単に改善していきます。

 ※女性が中指のばね指となっている時は腎経の支配領域では子宮に筋腫や 組織の機能低下を考慮する必要があります。

 三焦経が支配している薬指のばね指は上下の関係で接続している胆経との電位差の緊張が関係しています。 右三焦経の支配領域である右薬指のばね指における経絡のアンバランスは右肺経・左三焦経・右胆経・左肝経が実証で左胆経に虚証反応がある可能性があります。処置は左胆経に虚証があれば虚証の処置として皮膚接触固定鍼(皮内針)を置鍼し、しかる後、右胆経に瀉法の処置を施します。虚証が無ければ右三焦経支配の右薬指と上下で接続している右胆経の経穴(陽陵泉穴等)に円皮鍼を置鍼して揉む指導を行います。又は豪針にて瀉法の量を増やします。

 

 上記で述べたようにばね指は上下で接続している経絡間に於けるエネルギーのアンバランスを調整すると簡単に改善し出します。

 

 身体内には電位差の過不足が発生しています。それらは経絡に反映しています。身体内における組織の営みと経絡内のエネルギーの変化は等しい係があり ます。よって、各経絡におけるエネルギーの格差を調整する事で組織の営みを正常な状態に整える事ができます。生態の営みと各経絡のエネルギー状態が等しい関係にあることを知る必要があります。

 

 

■巻き爪(陥入爪)■

 陥入爪(かんにゅうそう)は、一般的には巻き爪と呼ばれ足の爪の縁が周囲の皮膚に食いこんだ状態です。

 変形した足の爪が皮膚に向かって成長したり、爪の周囲の皮膚が異常に早く成長して爪の一部を巻きこんだりすると、陥入爪になります。足に合わない窮屈な靴をはいていたり、爪を水平に切らずに角を丸くカーブして切ってしまうと、陥入爪を引き起こしたり、悪化させます。

 陥入爪は初期は無症状ですが、次第に痛むようになります。特に陥入した部分が圧迫されると痛みは激しくなります。患部は、赤くなり熱感を伴います。治療しなければ感染を起こしやすくなります。感染を起こすと、その部分が痛み赤く腫れて、膿がたまった水疱ができ(爪周囲炎)、やがて破れて中から膿が出てきます。

 軽い陥入爪は切り取ることができます。そのとき、爪の端をそっと持ち上げて、腫れが引くまで爪の下に滅菌した綿を詰めます。治療が必要なものは、局所麻酔(リドカインなど)をして、陥入した部分の爪を切って取り除きます。これで炎症は治まり、普通は再発もありません「メルクマニュアル 」

 東洋医学的診断と処置

 巻き爪における経絡診断は脾経や肝経の支配領域に実証反応が在るときに発生しています。足の第一趾の内側では脾経に実証反応が出ています。足の第一趾の第二趾寄りでは肝経に虚証反応が出ています。この巻き爪は経絡のバランスよりみると脾経や肝経の実証反応のみで発生することは少なく、関連接続経絡に虚証反応がある場合に発生しています。

 右足第一趾の内側に巻き爪が発生しているときは右脾経に実証反応があり右脾経と関連接続経絡である@左胃経・右大腸経・左心経が実証反応の場合は右胃経or左脾経に虚証反応があります。若しくは、A左膀胱経・右小腸経・左心経が実証反応の場合は右心経or左膀胱経に虚証反応があります。

 右足の第一趾の第二趾寄りに巻き爪が発生しているときは右肝経に実証反応があり右肝経と関連接続経絡である@左胆経・右三焦経・左肺経が実証反応の場合は右胆経or左肝経に虚証反応があります。若しくは、A左胃経・右大腸経・左肝経が実証反応の場合は右肺経or左大腸経に虚証反応があります。

 処置
 @虚証が確定したら虚証経絡に皮内円皮鍼(皮内鍼)を一個置鍼して関連実証経絡へ瀉法の処置を行います。
 Aレーザーポインターを実証経絡の井穴に照射しながら全身の関節を動かして体操しても改善します。
 B巻き爪となっている趾を痛いが回し揉みしても数週間で改善する経過を辿ります。

 

 

■五十肩■

 五十肩は一般的にこじれるとなかなか治りにくい疾病の一つ ですが、必ず完治する疾病でもあります。五十肩における西洋医学的見解は40〜50歳以後に起こる肩の痛みと肩関節の運動障害を伴う症状で、原因としては肩関節周囲炎、変形性肩関節症、肩関節抱縮等があげられ、特に老人性肩関節炎によることが多いと解釈されています。治療としては温湿布、超短波療法、入浴、マッザジ、運動療法の他、鎮痛薬、副腎皮質ホルモンの局部注射がなされています。

1 五十肩の初期症状
 初期症状では肩関節の疼きを伴います。座っていても疼き、寝ていても腕をどの角度にしたら疼きが軽くなるかを探すのが大変な状態となったりします。この疼きは心経に虚証が生じている経絡バランスとなっています。

 右肩が疼く場合は、右小腸経・左心経・右脾経・左膀胱経に実証があり、右小腸経と表裏の関係にある右心経に虚証反応が認められる場合の症状と言えます。つまり右小腸経と右心経における経絡間の電位差の緊張が疼きを発生させています。処置は虚証となっている右心経に皮内円皮鍼(皮内鍼)の処置を行うと立ち所に疼きが無くなります。疼きが消えたとしても、この虚実のアンバランスが整うには数週間を必要とします。早い改善を引き出す為には実証経絡に対して瀉法の処置を行う必要があります。

2 五十肩の中期症状
 心経の虚証反応がきえたら中期症状となり心経に続く虚証経絡が見え隠れします。比較的に出やすい経絡としては五十肩側の肺経と胃経です。

 原因としては西洋医学的見解のように局所の肩関節周囲炎、変形性肩関節症、肩関節抱縮、老人性肩関節炎等が認められるとしても、あくまでもこれらの見解は結果を原因と見なしていると解釈出来るのです。
 このように解釈して頂ければ解りやすいと思います。仮に右幽門部に胃潰瘍が発生しているとしますと、この関連症候群として右腰痛や右首筋等が凝ったり 右五十肩としての痛みを感じたりします。胃潰瘍は原因で右腰痛や右首筋等が凝り右五十肩になり痛みを感じるのは結果となります。 ここでは幽門部潰瘍で説明しましたが他にも右胃経が支配する領域に組織損傷を伴う原因を探し出す必要が出てきます。五十肩もまたそれ自体が原因ではなく他の症状の結果としての疾病と解釈した方が良いようです。機能的疾患で外的要因によらず発生する四肢の疾患等はほとんどが何らかの原因に対する結果としての病症なのです。膝関節疾患にしてもしかりです。
 右五十肩の場合右大腸経の実証に関連して表裏で接続している右肺経に虚証反応が在ることがあります。腸や気管支が弱い体質に出ている反応となっています。この場合では右肺経の虚証に皮内円皮鍼(皮内鍼)を処置すると首筋の凝りが瞬時に改善したりします。しかる後、右肺経の虚証に関連する右大腸経・左肺経・右肝経・左胃経の実証領域へ瀉法の処置を施すとかなり改善する経過を辿ります。

 五十肩の場合の原因において脂肪肝や大腸の機能低下等が考えられるケースがあります。右大腸経が実証となっているケースです。基本的に実証領域にはポリープ等が発生しやすい傾向があります。西洋医学ではポリープ等は悪性に移行しない限りにおいてたいしたことではないと考えられていますが、東洋医学では実証で身体内のエネルギー循環が悪くなった支配領域に相当します。頑固な肩こりや腰痛等の原因になります。こうした環境が長く続くと血液検査でも異常として確認が取れ出すのです。ベストの治療とは結果が出る前に整える処置と言えます。

 五十肩の治療処置


実証のみの場合

治療ポイント

上記 右五十肩のケース。右大腸経と右肝経が吻合する右大腸兪穴に円皮鍼。×印の経絡の気の流れを改善すると五十肩が早く治癒します。

 よくある質問ですがこれだけの経絡に対しどのような処置を施したらよいのかと。新経絡治療バランス鍼法での処置は一穴にて全身が解放するポイントを選び出します。五十肩の疾病に対しては大腸兪穴に1_程度の円皮鍼を置鍼して固定。その鍼の上から揉んでもらうだけなのです。加えてその関連経脈に軽く鍼を施し体表より過剰な電気を抜き取ったり、各経絡の支配している指を揉み回しをして、軽い体操をしながら過剰に帯電している支配領域の電気を手足等の末梢より抜き取ってやればよいのです。実証領域は指を揉んだり間接を緩めるだけで、電気が頭より足の方へと移動していきます。そして自然と体外へ放電して行くのです。すると上記の経絡すべてに氣の移動が生じ、経絡間の電位差が自然と是正され、電位差が是正されると組織の働きが本来の営みを取り戻し五十肩が改善する経過を辿るのです。西洋医学においては温湿布、超短波療法、入浴、マッザジ、運動療法の他、鎮痛薬、副腎皮質ホルモンの局部注射等の処置がなされるようですが、こうした複雑な処置を必要としません。ただ身体内の電位を整えるだけで治癒させることが可能なのです。

※五十肩を二度経験したときの経絡のアンバランス。 

 五十肩を二度経験する場合があります。例えば最初に右五十肩を経験し、その五十肩が完治した後、今度は左五十肩が発生するようなパターンですが、このようなケースでは二度目に逆の腕が五十肩となっても最初の五十肩になった経絡異常を考慮する必要があります。つまり最初の右五十肩を治療したパターンで治療方針を決定しなければならないことがあります。(特殊なケースとなります。)

※五十肩に似た急性の疾患。

 五十肩でも急性疾患で、疼きを伴い力が入らなく腕を挙上出来なくなる病態があります。この疾患は手を添えてやると腕が挙上出来ます。このような病態における経絡の異常反応は肝経に虚証反応が出ていることが多く、井穴の測定において挙上困難な側の肝経に電気抵抗が低い電気が流れやすい虚証反応が計測されます。治療は挙上出来ない側の虚証反応が出ている肝経の支配領域で曲泉穴に皮内円皮鍼を置鍼すると瞬時に挙上可能となります。さらに肝経を虚証とした時のバランス鍼法の処置を施しておくと全体的に急速に全快する経過を辿ります。

※五十肩診断におけるもう一つの見方(身体の歪みの影響)。

 身体の歪みを確認する方法で、右肩上がりか、左肩上がりかを確認します。この時右肩上がりの場合 には右五十肩となりやすい傾向が多く高い比率となっています。そして右大腸経に実証反応が出ていることが多く、その場合右大腸経を中心とした処置を行った方が改善する傾向が見られます。初めての五十肩でも二回目の五十肩であっても治療は同じく右大腸経が実証としての処置を施します。左肩上がりの場合は左大腸経が実証で左右のどちらかが五十肩となっている傾向が見られます。 注意点としては右心経や右肺経や右胃経に虚証が在るかどうかを最初に確認する必要があります。虚証が在る場合には最初にそちらの処置を優先します。

ここまで大腸経が五十肩において中心的存在として述べてきましたが、最終段階になると大腸経側の陽経にも実証反応が残り、三焦経 や小腸経の緊張を改善することにより完全に改善することが出来ます。

 

 

腰部椎間板ヘルニア

背骨 (脊椎骨) の前方部分である椎体と椎体の間を連結している軟骨 (椎間板) が外に向かって  突出する現象で、脊髄や脊髄神経を圧迫し、痛みや痺れ、さらに手足の力が抜けたり、感じが鈍くなったりという神経の症状をひき起こします。西洋医学的処置としては特殊な場合を除いては安静、コルセット等により腰を支え、薬物療法や注射療法、手術などが行われています。

この腰部椎間板ヘルニアを東洋医学における十二経絡を運行する気(エネルギー)の過不足より調べてみると、痛みや痺れを引き起こしている側の肝経脈に*最大実証を認めることが出来ます。つまり、痛みや痺れを引き起こしている側の肝経脈の支配領域に組織的な異常が存在し、それらが骨を支える経絡間の経筋群に影響して筋の緊張と弛緩を引き起こし、椎間板が突出したものと考えることが出来ます。

肝経の支配領域ついて付け加えて述べると、教科書で定義されている支配領域に加えて、脊椎のすぐ横を走行している膀胱経の一行線上もまた肝経の支配領域となっていることを述べておきます。

腰部椎間板ヘルニアにおける経絡の異常パターンは肝経と上下で接続している肺経の虚証 ・左右の関係で疾患部位と対称にある肝経の虚証を考慮する必要があります。そして、最も多いのが虚証が無く実証のみで椎間板ヘルニアになっているパターンです。

@虚証が無く実証のみの腰部椎間板ヘルニアは、右に椎間板が突出している場合、右足に痺れと疼痛が生じます。根源の経絡異常は右肝経に実証反応が出ています。

左に椎間板が突出している場合、左足に痺れや疼痛が生じている場合は左肝経に実証反応が出ています。

 

A虚証の確認。

右肺経・左三焦経・右胆経・左肝経の支配領域に実証反応がある場合においては、身体の左側に腰部椎間板が突出しやすい環境となり、左足に痛み、痺れ等が発生しています。 しかる後、右肝経の虚証反応を確認します。

B右肺経・ 左大腸経・右胃経・左肝経の支配領域に実証反応がある場合においては身体の左側に腰部椎間板が突出しやすい環境となり、左足に痛み、痺れ等が発生しています。左肺経の虚証反応 を確認します。

左肺経・右三焦経・ 左胆経・右肝経の支配領域に実証の場合に左肝経の虚証確認。
 左肺経・右大腸経・左胃経・右肝経の支配領域に実証の場合に右肺経の虚証確認。

C右肩上がりの場合で右肺経・ 左三焦経・右胆経・左肝経の支配領域に実証 反応がある場合においての最大実証経絡は左肝経となります。そして、この最大実証経絡に実証の処置として経穴に円皮鍼を処置します。しかる後、関連実証経絡に瀉法の処置を施します。

「治療処置」

@の場合の処置で左に椎間板が突出して左側の足に痺れや疼痛が発生している時は左肝経の経穴に円皮鍼を処置します。加えて、実証となっている右胆経の経穴に円皮鍼を施します。

円皮鍼は針体が1,3ミリ程度位で実証経絡の支配領域の経穴に置鍼して揉んで貰います。ですが、皮膚に1,3ミリ刺入すると痛くて長時間揉むことが出来ません。そこで、気代謝誘導装置・天心システム・ポイントチェッカーの皮膚電気抵抗器にてツボを焼き出します。金属部分を皮膚にあて暫く通電していると一ミリ程度の焼けたツボが皮膚に出現します。このポイントに1,3ミリの円皮鍼を刺入して揉むようにします。焼けているツボに針体が納まると揉んでも痛くありません。揉むことにより筋群に大きな変化が起きます。

左側の足の痺れや疼痛は左肝経の実証が中心となりますが、加えて、右胆経の実証にも円皮鍼を施すと治療効果が期待できます。私の場合、左肝兪穴と右陽陵泉穴に円皮鍼を処置します。経穴が正確に取穴出来ると痺れや疼きが消えてしまいます。加えて、脊椎と骨盤の位置が正常になってきます。

虚証がある場合には虚証の処置を優先します。最後には@の処置を行えば腰部椎間板ヘルニアは完治します。

AorBの場合ではまず肺経 ・肝経の虚証反応を確認して、虚証があれば虚証経絡に皮膚接触固定鍼を貼ります。虚証があればまず虚証の処置を最初に行います。

加えてAの場合では関連する右肺経・ 左三焦経・右胆経・左肝経の支配領域に毫鍼・灸。低出力レーザーを施すと有効となります。

ですが椎間板が突出するくらいのアンバランスを生じている環境では実証経絡 への処置が不可欠となります。例えば、右肝経に虚証の処置を行った後、左肝経の経穴に実証の固定鍼を置鍼して揉む指導を行う必要があります。気の過不足における左右差を是正することにより治療効果が増します。

実証の円皮鍼とは1,3ミリの円皮鍼にサジカルテープを二〜三枚貼り合わせたものを下張りとして、実証経絡となっている左肝経のみに影響する経穴へ置鍼します。 天心システム・ポイントチェッカーを利用している場合にはツボ出しを行い、出たツボに刺すと痛くなく長時間改善を促す事が出来ます。 取穴は右中封穴or右肝兪穴等となります。
 

軽症では腰部椎間板が突出している側の肺経の虚証の処置や椎間板が突出していない側の肝経の虚証の処置にて改善してしまう場合があります。虚証反応が消えた後の処置は実証経絡に円皮鍼を置鍼しますが、置鍼した鍼を揉む指導をします。一日数回、一回に二〜三分位揉んで貰います。さらに、左足の第一趾を、回し揉みして貰います。指を回し揉みしても気を操作出来るからです。補足的に右肺経(母指)・左三焦経(薬指)・右胆経(第四趾)を回し揉みすると全体のバランスが取れて改善しやすくなります。

Bの場合はAと逆の処置となり、最大実証となっている右肝経に円皮鍼を施し各実証経絡へ瀉法の処置を施します。
 

Cの場合は最大実証経絡に円皮鍼を施し揉む指導を行います。7割程度の過剰エネルギーが最大実証経絡に集まって下降して行きます。軽傷の場合はこの処置にて改善して行きます。

 

  最大実証経絡

最大実証経絡は手の経絡にあっては気が下降しやすいポイントを言い。足にあっては気が集まって降りてくる経絡の事を言います。これらの確認はドーゼ量を決定する上で重要となります。

 最大実証経絡は十二経絡循環をベースとして割り出せる内容で、その最大実証経絡のみを操作するだけで全身の気を整えることが出来る経絡のことを言います。

  最大実証経絡を割り出す条件としては肩上がりを決定することが条件の一つとなります。何故なら気の運行に於いて、肩が上がっている方から肩が下がっている足の方へ、各種治療操作を行うと気が移動し易い特質があるからです。

  さらに右肩上がりで右肺経・左三焦経・右胆経・左肝経が実証の場合、手の左右は右肺経・左三焦経が実証ですが左右の経絡は陰陽の関係になく、右胆経・左肝経に於いては陰陽の関係となり、左右が陰陽の関係になっている方の実証度がきつくなります。

  加えて右肩上がりですから、右肩より実証の気は左足へと下降しながら移動します。そして手より足の方の実証度がきついので、左肝経が最大実証となります。

  これらは気の動向を観察する限りに於いて、空論である陰陽五行理論では割り出すことが出来ません。十二経絡が気の運行に合致しているからです。

我々はポイントチェッカーと言う装置を使用して、患者さんの気を誘導し治療ポイントを決定しますが、患者さんの気が動けば我々の身体にも共振するかのように気の動きが伝達されてきます。外界の動く実体の気は受信しやすくなります。

こうした気を感じ取ることは特殊能力のように理解している人がほとんどのように感じられますが、ホントは受信しているのに、気付かず忘れてしまっている、人間が本来備え持つ能力にしか過ぎず、我々の勉強会に参加された先生方はいとも簡単に体得されて行かれます。

こうした人間の受信能力に気付く時、段々と証の決定が確かなものとなり、誤魔化しの無い、誰にでも説明が出来る、法則性と再現性のある治療に立脚出来るようになるのです。

 

 

 

■股関節脱臼・胆嚢摘出・左脳の血流一部閉塞■