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はじめに 皮内鍼とは、赤羽幸兵衛氏の発案で、皮内に鍼を刺入し、固定して行う鍼のことである。操作は簡単で、疾病によって生ずる最高圧点を捜し出し治療を施す。施鍼すると一穴で患者の訴えが治ることがあり、瞬時に鎮痛し、治効に目を見張るものがある。知るものぞ知る治効である。 だか本法は昭和27年に考案され、追試を重ねられているにもかかわらず、未だ産声を上げたばかりで、個々の刺激が正確にどんな影響を与えているかが不明瞭であり、皮内鍼と経絡の関係、皮内鍼の数、刺入時間、皮内鍼の効力と限界、といった治効法則が明瞭にされていないのが現状となっている。 だがこの皮内鍼の治効作用には法則性と再現性があり、一定の要件を満たせば、いつでも同じ程度の効果を期待出来ることが解ってきている。我々の研究では、この皮内鍼の治効理論の解明に力を入れており、研究が進むにつれ、皮膚破壊をして刺入する中国伝来の豪鍼の役割もある程度解りつつあり、東洋医学における経絡学説を完全肯定しなければならない事実を臨床の中に見いだしている。こうしたデーターは近い将来、電気生理学の領域で自然科学として経絡が証明されることを示唆している。そして有能な頭脳が経絡を基礎医学として注目し研究し出したら、現代医学はさらに急速に進歩するはずである。なぜなら経絡が気血を運行させ、身体を滋養し、生体の異常を反映し、侵入した病邪や鍼灸の刺激などを伝導する重要な役割を担っているからである。これから述べる内容は法則性と再現性のある治効法則についてである。 今回はまず皮内鍼の刺入方向による効果の相違と皮内鍼の相殺作用について明らかにしていきたい。そのためには我々はまず証明に必要な経穴を特定した。 {霊枢}に「経絡の微妙な現れは輸穴なしでは捕られるものではない」と述べられている。輸穴とは井穴、栄穴、兪穴、経穴、合穴の事で、肘関節から指先と、膝関節から指先までにある穴のことである。この輸穴にて病人の気血の虚実や病邪の盛衰の微妙な現れをつかむことができるとしている。それは、肘関節や膝関節より指先における経脈の支配領域が明瞭で区別しやすい事と、関節部位は常に使用しているがゆえに経脈における異常が反映しやすく診断の目安になることに由来する。 こうした観点により、我々は皮内鍼の治療ポイントを肘関節と膝関節より末端を選び、さらに、絡脈を考慮し、手は陽経の絡脈より指先までの穴は取穴せず、足は陰経の絡脈より指先までの穴は取穴しなかった。 三焦経を例にあげると、絡穴である外関穴より体幹部へは心包経に走行している流注と、絡穴である外関穴より本線である三焦経を走行している流注があり、この心包経と三焦経とが、絡穴である外関穴より指先にかけては、三焦経と心包経が吻合していると考えられたからである。それゆえ肝経では中都穴、腎経では復溜穴、胆経では陽交穴、三焦経では四トク穴と言う具合に取穴した。どの経脈であるかが明瞭な経穴を取穴する必要があったからである。 T-皮内鍼の刺入方向 「皮内鍼は横紋に平行にするようにする。すなわち、皮膚の伸縮する方向に対して横に、しかも十字型に刺入する。何故かということはわからないがとにかく、その方がよいようである。」「ただ単に皮膚の伸縮方向というだけでなく、そこには、何物かが介在するのではないかと思われた。いずれにしても、皮膚の伸縮方向だけはよく見なければならない。しかし、方向に関係なしに行っても効くことがあるから一概にはいえないが。」(赤羽) 確かに皮内鍼は皮膚表面に鍼を長時間刺入する関係上、横紋に平行に刺入することが、皮下に鍼が刺入してしまいやすい状態をなくし、治療効果を持続させることが出来るということがある。皮内鍼が皮内を通り過ぎて、皮下に鍼尖が届くと血液や漿液が出、皮膚面が発赤し、皮内鍼の効果は消える。とにもかくにも、皮内鍼が動作時にチクチクするのはいただけない。「関節の屈伸、筋、皮膚等の伸縮作用を阻害せぬよう、横に、すなわち、十字型に刺入するものである。」(赤羽)とした意味がここにある。 1ー皮内鍼の遠隔治療 実際に使用した皮内鍼は鍼尖が深く刺入することを避け、角度の付きにくいリングの皮内鍼で二ミリのものを使用した。刺入部位は皮内でも真皮と表皮の間に鍼尖が届けばよしとした。実験(1)、(2)(3)の被験者は井穴部位の電気抵抗を測定をし、一経だけ抵抗値が低い人を選び、かつ痛みを伴っている経脈上の実験である。電気抵抗と皮内鍼に関しては次回新経絡治療Uの皮内鍼の限界で述べる。また著効とほとんど鎮痛した状態を言い、有効とは比較したとき著効よりはスッキリしない状態を言い、何の変化も生じなかったとき無効とした。効果の確認は数秒あれば十分である。被験者は多数。 さて、それでは皮内鍼の刺入時における鍼尖の方向によって治療効果が異なるかどうかを実験した結果を述べて行くとする。 <実験1>
<実験結果>
以上の実験で、皮内鍼の治療効果において、同一経脈上では遠隔治療が可能であることが解った。そして皮内鍼の刺入方向であるが、疾患部位と同一経脈であれば、疾患部位に向けて皮内鍼をしたほうが、疾患部位と反対に向けて皮内鍼を刺入するより、または横紋に平行に刺入するより、著効となる結果を得たのである。 この実験により、経脈の体表部における支配領域の存在と、しんせんの方向による治効の相違を確認したことにより、皮内鍼はいったい何を変化させたのかというテーマを我々に与えてくれたのである。 この遠隔治療の効果について少し述べておくが、病状が軽症の場合等はこの遠隔部より疾患部位に向けた皮内鍼のみで、鎮痛及び器質的、機能的疾患そのものも治ってしまう効果を期待できたのである。
<実験2> (2)皮内鍼のポイント治療 次に病巣が深部にあり臓腑が器質的疾患にかかっている場合、及び、圧痛部位が慢性化している場合の病巣部の経穴に対し、直接皮内鍼を試みてみた。そして、遠隔治療の効果と比べてみた。 <取穴例>
以上は病理学上の検査で医師により器質的疾患があると診断された時に異常があった経脈とその支配領域内に生じた圧痛部位であり経穴である。 <実験結果>
表2のように(1)(2)(3)の臓腑の疾患部位の経穴、及び慢性化した圧痛部位の経穴に、横紋に平行に皮内鍼、経脈の走行にたいし平行に皮内鍼、そして体表より直下に鍼尖を向けた皮内円皮鍼(皮内より上で鍼尖が止まる鍼)、の方法にての鎮痛効果を調べたが何れも差がなく著効であった。 この治療において特筆すべきは、臓腑の疾患が体表に兆候を現している部位の経穴に皮内鍼及び皮内円皮鍼を施鍼した時、同一経脈上の支配領域の関連痛が消失したことである。 以上の実験により、深部病巣部に近い体表上の圧痛点への直接の施鍼においては皮内鍼の刺入方向の違いによる効果に差異を認めなかった。そこで、我々は<実験1>において病巣部に向けて皮内鍼をした方が、そうでない方法より効果があったので、皮内円皮鍼なるものを作ってみた。これは技術的にも現在日本で作れる最短の針体を持つ円皮鍼であり、針体の長さが0.6ミリとなっている。その円皮鍼を使用時に、さらに、サジカルテープを七〜八枚重ねたものを通し、皮膚に0.1ミリ程度刺入するようにして施鍼するのである。臓腑の疾病の場合、深部が病巣となるために、深部の病巣部へ鍼尖を向けて治療した方が皮内鍼より効果があがると期待してのことであった。結果は共に著効であったが予想通りの好結果となったのである。加えて言うなら、皮内円皮鍼の場合、体幹部であろうが関節部であろうが何処にでも施鍼出来る利点を備えていたのである。
新経絡治療(バランス鍼法)2
2皮内鍼の相殺作用 「一本か二本で折角効果があった時、その結果も見ず数多く使用したため、かえって効果が薄れてしまうことがある。即ち、後の刺激が先の刺激を相殺する。これを<相殺作用>と言っている。」「経絡は知らなくてもよい、何でもよいから痛みのある中心部の皮内へ一ミリ位刺入して見て貰いたい。原因が簡単なる肩こりや腰痛なら一文間を出ずして効果が現れ、数十分内に鎮痛してしまうものである。」(赤羽) 皮内鍼をする場合、経絡の存在をそれほど重視しなくても良い、と述べられているが、果たしてそうであろうか。我々はこの件に関し、幾つかの実験を行ってみた。そして、そこで解明された内容は経絡を完全に肯定しなければならない結論だったのである。 <実験3> 表3 実験3 皮内鍼の相殺作用
表3の <実験4> そこで、磁石の位置を胆経上の支配領域内の数カ所に貼って変化を調べてみた。そして表4のような興味深い結果が出たのである。
皮内鍼で著効となった経脈上に重ねて磁石を貼った場合、皮内鍼で鎮痛した効果は磁石によって相殺されてしまった。と言うことは皮内鍼が生体の電気的エネルギーに変化を与えて鎮痛させていたにもかかわらず、異なった磁場の出現により皮内鍼の効果が相殺したと言うことになる。このことは、皮内鍼の刺入領域が皮内と言っても、表皮と真皮の間に刺入した方が確実に効果を出せることと関係が深いように思われる。 我々の治療実績では、皮内でも表皮と真皮内の間に皮内鍼の鍼尖が固定されている状態が、常に安定した治療効果が得られ、刺入部位が真皮内、及び皮下に至り皮膚表面が発赤する時は、皮内鍼本来の効果を期待できないことがあるからである。極端な言い方をすれば0.1ミリ表皮に鍼尖がくっついてさえいれば皮内鍼の効果を完全に満たすことが出来るわけで、単純に鍼治療を刺激療法であると解釈するには妥当しない皮内鍼の役割がここに解ってきたのである。 (3)皮内鍼は刺激療法ではなく、経脈の電気的エネルギーをアースし矯正する働きがある。 (図1)
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このように一本の皮内鍼で出た効果に対し、さらに、一本の皮内鍼の施鍼は、或いは、一個の磁石を貼るだけで、その効果に変化があったり、無かったりする、領域が存在すると言うことは重要な内容であり、特に磁石による相殺作用は組織解剖学的にされない経脈の存在が電気生理学の分野で証明可能であることを意味している。図1。胆経脈は胆経脈として支配領域を持ち、一定の役割を担い機能していると考えられる。それは、心経や脈管さえも包含してしまう存在として経絡を見つめ直さなければならぬほどの事実なのである。 こうした実験により、同一経脈上の支配領域に皮内鍼を一本しか使用できないことが解明できた。更に、磁石でも皮内鍼と同じ結果が出たと言うことは、皮内鍼によって治療効果があるのは、生体の電気エネルギーが操作されるからではないかと考えざるを得なくなってきたのである。ここで我々は経絡が確かに存在していることを確認したのである。 (4)上下経脈一置鍼の法則 では、皮内鍼の使用が一経脈に一本として考えた場合、手の6経脈と足の6経脈で十二経脈あり、それが左右にあるので、24経脈ある。さらに督脈、任脈、衝脈、帯脈を入れると、合計28本、皮内鍼を施鍼可能かと言うと、そんな単純なものではなく、経脈の走行、絡脈の走行を考慮することなく使用できず、経絡の支配領域としてある体表部の走行を考慮せず無視すると相殺作用が生じる等の自然科学的法則が存在していたのである。 我々は経絡の気血が肺→大腸→胃→脾→心→小腸→膀胱→腎→心包→三焦→胆→肝→肺と巡っていることを霊枢の経脈編第10で習ってきた。こうした気血の流注は確かに存在しており、我々は皮内鍼の施鍼による効果と相殺作用の確認を通して流注の存在が理解され、次第に古典に説かれた黄帝内径の素問・霊枢と一致を見るに至るのである。 <流注1>図2 大腸経は肺経の脈を受けて、示指橈側爪甲根部から始まり、上下の関係にある胃経へと直接に接続し、足の距骨上の衝陽穴より胃経と脾経とに分かれることになっている。そこで我々は、まず、大腸経脈上の疾患に皮内鍼を施鍼し、効果を確認した後に、胃経にも皮内鍼を施鍼してみた。暫く経過を観察していると、双方の経脈に緊張が生じだしたので、皮内鍼が大腸経と胃経に一本しか使用できないのではと考えた。相殺作用が生じたからである。
<流注2>(図3) 脾経は胃経の脈を受けて、足の第一趾内側爪甲根部から始まり、上下の関係にある心経に直接接続し、心経は手首の通里穴より心経と小腸経とに分かれることになっている。ここでも、脾経脈上の疾患に皮内鍼を施鍼し、効果を確認した後で、心経にも皮内鍼を施鍼してみた。暫く経過を観察していると、双方の経脈に緊張が生じたので、皮内鍼が脾経と心経に一本しか使用できないことを知った。脾経に一本と心経に一本施鍼したら、相殺作用が生じたのである。
これと同じように上下で接続している小腸経と膀胱経に一本。腎経と心包経に一本。三焦経と胆経に一本。肝経と肺経に一本しか皮内鍼が使用出来なかったのである。
※上下経脈一置鍼の法則は経絡が存在していることを確認する為に行った一方法であることを理解して頂きたいと思います。何故なら臨床に於いて、上下経脈の虚実を確定していくと、必ず小腸経が虚証となっている時は膀胱経が実証となっています。腎経が虚証となっている時は心包経が実証となっており、実際の身体では上下経脈は相対的にどちらかが虚証でどちらかが実証となります。また皮内鍼が虚証領域にしか効果がないことを考えあわせると、上下経脈のどちらかに存在する虚証領域に一本しか皮内鍼を置鍼出来ないことになります。さらに氣の流れを受信して、皮内鍼を施鍼したときの氣の移動を観察してみると、経絡が循環して接続している関係か、全身に一個しか使用できないことが現在では解ってきています。
<陰陽(臓腑)における絡脈を考慮した皮内鍼の相殺作用> 削除 <陰陽理論と上下経脈との関係> 黄帝内径、霊枢根結第五に「用鍼之要、在於知調陰興陽」、「鍼法の要は、陰陽を整える事を知るにある。」と記されている。鍼法に於いて陰とは臓の事を言い、陽とは腑の事を言う。また陰を裏と言い陽を表とも言う。つまり陰陽、臓腑、表裏とは同意語として使用されている。ここでの臓腑とは西洋医学にある臓腑と一致すると共に、それより、さらに多くの内容を包含している言葉として使用されている。 そして、陰陽を鍼法においては、腑に関係が深い陽明、太陽、少陽と、臓に関係が深い厥陰、太陰、少陰とにわけ、経脈の特徴を区別している。こうした陰陽の側面より、前述の相殺作用を踏まえて説明すると以下のようになる。 我々は流注を考慮した相殺作用において、陽経の陽明大腸経と陽明胃経の上下の関係にある二つの経脈に皮内鍼を一本しか施鍼出来ないことを相殺作用で知った。少陽三焦経と少陽胆経に一本。太陽小腸経と太陽膀胱経に一本となっている。それ故、陰経の太陰、少陰、厥陰の上下の関係も陽経と同じく太陰肺経と太陰脾経の二つの経脈に皮内鍼を一本しか使用出来ないのではと考えた。何故なら、霊枢に「太陰経の脈氣が絶えようとするときは………。陽明経の脈氣が絶えようとするときは………。」等と述べられているからである。このように太陰経、或いは、陽明経として、それぞれ独自の働きを持っているかのごとく分類できると言うことは、経脈の走行においても当然上下の脈気が交流してしかるべきと思われたからである。 それ故、太陰同志、少陰同志、厥陰同志それぞれに皮内鍼を重ねて置鍼して相殺するかどうかを調べてみた。結果は接続していないというデーターが残った。接続していれば、皮内鍼を置鍼して有効が確認された後、同名経へ(太陰脾経と太陰肺経)重ねて皮内鍼を置鍼すれば瞬時に効果が相殺するのである。
※まさに脈絡が無いとはこのことか!教科書において誤り在り。
新経絡治療(バランス鍼法)3 人間が感じ取る異常知覚は宇宙最大のコンピューターである人間に於けるバランスが崩れようとしている警告であるがゆえに、素直に観察されなければならない。身体に現れる経絡現象や病的異常知覚が局所的なものであれ、全体的なものであれ、全てが縁によりて生じた原因あっての異常知覚であるがゆえに、原因の解明と理解こそが最大の治療効果を高める必要条件といえる。 鍼灸では身体に現れる、こうした原因があって発生している種々の諸症状を無視することなくして重要視し、経絡の変動として把握し治療に役立てている。経絡の気血の盛衰を、不足は補い、有余は瀉すことによって調和させ、自然治癒力の補助的役割を担い治すのである。だが、はなはだしい手探り的操作が一般的で治療に一貫性が無いことも事実である。 偶然にささえられた治療結果を見つめる治療手技より施術者は解放されなければならない。その為にはどうしても経絡の存在が仮説の域を脱し、経絡の意味を解明し、治療方法、治療経過、治療効果等に一定の法則性と再現性を発見しなければならない。そうして初めて、鍼灸の世界が科学的基礎に立脚した、予防医学の世界として確立すると言える。こうした観点を考慮した場合、赤羽氏の知熱感度測定、中谷氏の良導絡測定は、経絡の変動を客観的に把握しえた画期的内容として高く評価されるべきで、こうした本質を統合し法則を解明することが、後進の者に課せられたテーマのようにも思われて来るのである。 人間の生命の成長や破壊には一定の法則がある。大自然の法則である。こうした法則を発見して行くことは、人間が無知から解放されることに繋がる。医学もまたその一分科である。数千年にもわたって受け継がれてきた。東洋医学に、自然科学的法則がなかろうはずがない。人々が不必要なものをこれほど長く認め続けるはずがないからである。 T-経脈の代表測定点 経絡系統は全身の組織や臓器と密接な繋がりをもち、生理機能や病理変化の面でも重要な働きをしている。機能活動に即して述べると、
こうした役割を持っている経絡の変動を、赤羽氏は井穴部位の知熱感度の差で読みとった。そして知熱低下部位の経脈上及び兪穴に皮内鍼、左右対称の経脈上及び兪穴に巨刺法の瀉法を行い治した。しかし、中には瀉法を与えるべき所に皮内鍼で治ったり、左右同じ経穴へ同量の刺激を与えて、地熱差が逆転したりした。さらに、測定時の体位によって測定数値に変動が生じやすかったり、術者による不問診が出来ない等の問題があった。 一方中谷氏は経絡の変動を皮膚電気抵抗で読みとった。皮膚の表部角質層は不良導体であるにもかかわらず、電流が流れる点があり、経絡の走行と一致することを発見し、良導絡治療を考案した。不問診が出来、明瞭で、測定も簡単であるがゆえに、医師の中にも普及していった。だが、治療法則について言うと新しい発展が見られなかった。 皮膚の電気現象についての研究活動には皮膚電気抵抗を直接測定する方法とね外部から電圧を加えず、皮膚の電流量を測定する方法があり、経絡と穴位を観察する研究が行われているが、我々は経絡測定に皮膚電気抵抗を選んだ。但し経絡の代表測定点を赤羽氏の知熱感度測定の測定部位である井穴部位とした。かかる決定は、経絡変動を良導絡測定部位と井穴部位とで計測したとき、測定数値においてかなり差が認められたからである。 良導絡測定部位は原穴が多く、腕関節部や足関節部に近い部位を測定点としている関係上、経絡の変動が直接的に現れやすい場所であるがゆえに異常圧痛が出たりする。このことは経脈の変動を診断する上で、利用価値があれども、逆に負荷がかかりやすいことを意味している。一経脈のエネルギーの代表測定点とするには、不適当と考えられたからである。さらに、電気はその性質として平面より尖った所に集まる特質を持っているということがある。生体における電気的エネルギーを測定するがゆえに、我々は経脈の代表測定点を井穴部位としたのである。 この決定により、良導絡測定点で測定される測定の不安定さに対し、病状の経過などに比例する安定した測定値を井穴部位で得られ、通電抵抗を参考としえる針灸治療の法則が解明出来だしたのである。 2−良導点 すべての原子の力はプラスとマイナスの組み合わせで成り立っている。人間の肉体生命も原子力と言われる電気的エネルギーで保たれている。それ故、人間の活動力は電気的エネルギーそのものと言っても過言ではない。一方、経穴は別名孔穴とも呼ばれ、肉体が異常になると、体表上の経穴が電気を通しやすくしたり、通しにくくしていることが解ってきている。それ故、経穴の役割を考えるとき、生体を正しく維持するために、生体内の電気的エネルギーを体外と交流させることで調和を計っていると考えることができる。こうした視点は、黄帝内径で、ツボのことを気穴と言い、その機能には「脈気を発し、神気を自由に出入りさせる特徴がある」としていることと一致するように考えられる。また、人体を絶縁台の上に位置させて、高圧静電気、例えば五万ボルト位の高圧静電気を通し、暗いところで写真を撮ってみると、コロナ放電が起こる。そして、病気の時には特殊なツボの付近でコロナが乱れているのが観察されていることも経穴を考える上で興味深い。 こうした皮膚の体表上に変化が起きる人間の皮膚の表部角質層は不良導体であるにもかかわらず、良導絡治療で使用されている皮膚電気抵抗器ポイントチェッカーの金属部分で長く通電していると皮膚表面上に電気で焼けたような反応点が出現する。1cu当たり3〜5個くらいで、一つの反応点は1o〜1,5o位の大きさである。 こうした良導点は生体の異常に比例し、臓腑の異常が生じた場合は疾患臓腑に近い体表に反応点が多数出現しやすく、井穴部位の電気抵抗値にも臓腑の疾病の程度に応じた変動が生じる。仮に十二指腸球部が潰瘍となった場合を例に取ると、右側の胃経上の井穴部位の電気抵抗が低下し、他経に比して通電量が上がる状態となる。だが井穴部位の通電量が上がったからと言って、その経絡が支配する経穴全てに同じ反応良導点が出現するのではない。病巣部となっている右側の胃経上の承満穴付近に顕著なる通電しやすい反応点が幾つか出現するだけである。 3−良導点・ツボ・皮内鍼 ツボとは十四経絡発揮に経絡に属するものとして定められている354穴を経穴と言い、経験的によく効く経穴以外の穴を奇穴と言い、その他に、押して気持ちの良いところ全てを阿是穴と区別している。赤羽氏は「正しい穴とは本や図などにある、何寸何分などと言うのではなく、最高圧点をいうのである」として、指尖の感覚を重要視し、皮内鍼の治療で最高圧点を指尖で捜し出し治療ポイントとし、かなりの効果があったのであるが、極めて曖昧であった。 観察1 (1)十二指腸潰瘍部位の痛みの鎮痛に関して。 経穴部位の反応点に皮内円皮鍼を施鍼すると深部の痛みが瞬時に鎮痛してしまった。次に阿是穴に皮内鍼を施鍼すると、経穴に皮内円皮鍼をして取れていた痛みが少し出てきたのである。その経穴と阿是穴との差は数ミリである。だが経穴に皮内鍼をした場合と阿是穴に皮内鍼をした場合、共に効果があり、阿是穴の場合痛みの半減を見、経穴の場合は完全に痛みが鎮痛してしまった。 (2)十二指腸球部の潰瘍における体表上の反応良導点の消失。 経穴の回りに点在している阿是穴に皮内円皮鍼をして近隣における複数の反応良導点の消失の経過を調べてみると、全て消失するまでかなりの経過を要した。だが経穴と一致する承満穴に皮内円皮鍼をして回りに点在している複数の反応良導点の消失の経過を調べてみると、阿是穴に皮内円皮鍼をした時より、はるかに早く消えてゆき、最後に承満穴の電気抵抗も高くなり、日を追う事に反応が無くなっていったのである。そして、潰瘍の状態であるが、これも良導点の反応が消えるに比例して治っていったのである。(表1) 表1 観察1
こうしてみると、経穴部位の良導点は一定の支配領域を持っていて、経穴と阿是穴との関係は親子の関係であり、また、経穴は一定の領域のセンターとしての役割を持ちつつ、経絡の縦の経脈をつなぐ、ポイント的役割を果たしていると考えられるのである。つまり、ツボと言うのは、「経脈が陰陽(臓腑)を営ましめ筋骨をうるおし関節を利するゆえのもの」と「霊枢本臓篇」に述べられているのを考え併せると、限定された存在ではなく、気血を運行させ、針体を滋養し、生体の異常を反映し、侵入した病邪や刺激などを伝導するために、経脈在り、絡脈あり、孫脈ありで、生体の隅々まで及んでしかりと考えられる。ゆえに、体表上にも経穴以外の反応点が無数に存在してもけっして不思議ではないのである。むしろ穴の数を限定する方にこそ無理があるのではあるまいか。ということは体表上の通電しやすい反応点は全てがツボとしての役割を持ち、その中に要所においてセンターとしての役割を持つ代表的な経脈上のポイントを古人は経穴として規定したのではないかと考えられるに至ったのである。 4井穴部位の電気抵抗の変動と疾病 井穴部位の電気抵抗値は疾病と関係が深く、病巣部の治癒の程度に比例して変動することが解ってきている。上記の十二指腸球部の潰瘍の場合でも、潰瘍が治癒するにしたがって、点在していた阿是穴としての良導点も次第に消え、最後に経穴である承満穴の反応も出にくくなる経緯を辿る。 「ホームページの臨床編参照」 5皮内鍼治療の限界 「肺結核、喘息、肋膜炎、肋間神経痛や風邪などによって胸部や背部に現れる圧痛は病気の軽重によって、その程度に大小あっても現れた位置は異なっても、圧痛はどこまでも圧痛であることにかわりはない。故に痛みにもマヒにも、シビレにも共に皮内鍼でよいのではなかろうか。」 赤羽氏は「圧痛はどこまでも圧痛であることに変わりない。故に痛みにもマヒにもシビレにも共に皮内鍼でよいのではないか」「むずかしい法則はなく、ただしっぺいによって生ずる圧点へ刺すだけで、上手下手なく誰がやっても同じ効果が得られる。」と述べているがはたしてそうであろうか。 観察2 我々はまず、井穴部位における皮膚電気抵抗値をポイントチェッカーで測定し、電気抵抗が高い経脈と電気抵抗が低い経脈とに皮内鍼を施鍼し、皮内鍼による施鍼効果を調べてみた。以下がその結果である。 表2 観察2
皮内鍼の施鍼ポイントは経脈を明確にする関係上、足では足関節より膝関節の間で絡脈によって支障がない穴と、手では腕関節より肘関節の間で絡脈によって支障がない穴を選んだ。例えば肝経では中都穴。胆経では陽交穴等である。皮内鍼はリングの2oを使用し、皮内鍼の鍼尖は経脈に沿って刺入し、体幹部に向けた。鍼の刺入時の深さであるが、0,1ミリ真皮と表皮の間に止まれば良しとした。確実な効果が期待できるからである。 「観察2」は井穴部位の電気抵抗値が正常値より極端に低く、かつ痛みが同一経脈上に発生している場合と、電気抵抗値が正常値より極端に高く、かつ痛みが同一経脈上に発生している場合に皮内鍼を施鍼して痛みの変化を調べてみた。さらに電気抵抗値が低かったり高かったりしているが、全く痛みがなく、異常感覚を訴えない状態においても、皮内鍼を施鍼して数日観察した時の生体の反応である。 電気抵抗の高低は正常値を基準として読みとるが、正常値が12vで50μA時、極端に低いとは12vで100μA〜150μA程度を言い、極端に高いとは12vで25μA程度を言うが一定していない。また正常値とは全経脈の測定を平均化して、正常範囲を決定して得られるものではない。個々人の正常値はだいたい最初から決まっている。 こうした結果により、我々は皮内鍼が皮膚電気抵抗値が低下している電気が流れやすい経脈にしか使用できないことを知った。この法則には再現個性があり、何人追試しても同じ結果となるはずである。 してみると「一見健康体と思われる者でも皮内鍼に弱い、すなわち、皮内鍼過敏症とでもいうような者もあり。刺入直後その部位付近から段々重くなって遂には全身に及ぼすこともある。」と皮内鍼の逆効果を皮内鍼過敏症として赤羽氏は解釈したのであったが、実は皮内鍼過敏症等ではなく、単に電気抵抗が高く電気が流れやすい経脈上に皮内鍼を施鍼したに過ぎなかったのである。 こうした逆効果については、皮内鍼を利用している施術家であるなら少なからず経験しているはずである。 我々が確認した内容は皮内鍼が電気抵抗値の低い電気が流れやすい経脈上にしか使用できないと言う法則と、さらに、痛みには電気抵抗が低いところに発生する虚痛と、電気抵抗が高く電気が流れにくい経脈上に発生している実痛が存在していることが解り、単に圧痛点への皮内鍼の処置は問題となることが解ったのである。そして皮内鍼の施鍼は皮膚電気抵抗器にて経絡における井穴部位の測定によって有効か無効かを予測できるようになったのである。
新経絡治療(バランス鍼法)4 新経絡治療(バランス鍼法)には法則性と再現性がある。又、シンプルな内容であり、一つ一つの治療が確実にデーターとして集積されていくので、初心者でもたやすく治療が出来るようになる。なぜなら自然科学的法則に守られているからである。それ故、臨床を重ねるに従って治療効果を前もって予測できるようになり、患者に的確な指導が出来るようになってくる。偶然に支えられた治療より解放され、証の決定と治療に法則性と再現性を見いだそうとしているのが新経絡治療(バランス鍼法)なのである。ただこのバランス鍼法は体系が出来て間もないので、解明できていない領域がかなり多い。臨床に追われているので確認したい内容も確認できないで終わることがしばしばである。又研究者にとっては研究の題材が豊富にあるので、さらに進んだ新たな解明がなされることを期待してやまない。 1ー12経絡の循環 新経絡治療(バランス鍼法)では経絡を完全肯定している。それは完全肯定しなければならない経絡の存在と経脈の変動を臨床の中に見いだしているからに他ならない。経絡学説では、あらゆる疾病は経絡内の気血に反映しており、気血の過不足状態を整えると慢性化した疾病をも改善することが出来ると考えられている。それ故、経絡の存在と経脈の異常を理解して考慮しなければ気血を調和させることが出来ないと共に疾病を治癒させることさえ出来ないと言える。そして器質的疾患、機能的疾患となっている陰陽(臓腑)の疾病は経脈のエネルギーに反映していることを前提として、疾病を治癒させるには経脈の異常エネルギーを読みとることが不可欠といえる。 「黄帝内径霊枢」終始篇第九では「請言終始 終始者 経脈為記 特其脈口人迎以知 陰陽有餘不足 平興不平 天道畢牟」=「終始は十二経脈の循環を基本といたします。そのために寸口と人迎の部位を切診して、そこに現れる脈の状態から人体の陰陽の過不足を判断して、その人が健康であるか病んでいるかを知ります。これさえ解ればもう天授の医術を修得したのと同様であります。」(意訳黄帝内径霊枢)と述べられている。つまり十二経絡循環における証の決定の重要性を説いた内容と古代の技術についてでである。 また治療では「凡刺之道 気調而止」=「もともと、刺法は人体の陰陽の気を調和するのが目的であります。」(意訳黄帝内径霊枢)として「必先通十二経脈之所生病」=「病は必ず十二経脈の変調によって生じる」(意訳黄帝内径霊枢)ので陰陽虚実の変調は十二経脈を利用して調和してやれば良いとしている。 新経絡治療(バランス鍼法)では十二経脈の証の決定を井穴部位の電気抵抗値で読みとることも取り入れている。そして十二経脈における陰陽(臓腑)の過不足を判断し健康であるか病んでいるかを知り、気の過不足の程度に比例した治療を施している。あくまでもこの十二経脈の循環を基礎としている。 2−経脈の代表測定部位 新経絡治療(バランス鍼法)では十二経脈の代表測定点を赤羽氏が知熱感度測定で使用した井穴部位としている。電気が先端に集中する性質を持っているからである。(膈兪経と八兪経削除) 図1
3ー測定数値の読みとり方 新経絡治療(バランス鍼法)では経脈の測定にポイントチェッカーという皮膚電気抵抗器を使用している。 ※皮膚電気抵抗測定器のみによる経絡における虚実の計測。
4−治療手技の決定1 新経絡治療(バランス鍼法)では電気で気の誘導を行い。処置においては豪鍼、皮内鍼(皮内円皮鍼)、円皮鍼、灸、低出力レーザー、等を主として使用している。では電気抵抗が低い経脈と高い経脈にどのように使用したら安定した効果を引き出して、治癒に導くことが出来るかを述べていくこととする。 また新経絡治療(バランス鍼法)では治療期間中に於ける磁気類の使用を見合わせて貰っている。効果が相殺するからである。 電気抵抗値が正常値より低い場合。 井穴部位の皮膚電気抵抗値が正常値より低い場合は通電量が多く、その経脈は活発に変化している。こうした経脈を興奮しているとして把握し、興奮を鎮めるために瀉法を用いると良いという考えが方がある。だが電気抵抗が低い経脈には原則として瀉法を用いてはならない。患者に豪鍼を刺しパルス通電を行ったとき、次第に気分が悪くなったり、痛みがかえって増す場合がある。こうした経脈は虚しており、電気抵抗値が低い経脈に過剰刺激が加えられた時に発生する変化だからである。 それ故電気抵抗が低くなっている経脈に対する手技は補法を使用しなければならない。だが補法の手技については古来より、鍼尖を経絡の流れと同じ方向に刺入したり、息をはく時に鍼を入れ、息を吸うときに鍼を抜いたり、痛くないように刺抜したり、細かい鍼を用いたり、鍼を温めて刺す等と、気血を充実させるための刺法が色々と説かれて来たのであるが、きわめて難解で解りにくく操作しにくい領域となっている。井穴の測定において電気抵抗が極端に低い反応として読みとれる経脈の支配領域には、組織が破壊され機能が低下している病巣が存在していることが多い。それ故、虚証となっているこうした病巣に対し、豪鍼の操作で組織を正常に機能修復させる試みはなかなか困難と言わなければならない。 新経絡治療(バランス鍼法)では、こうした病巣が発生している経脈には補法の役割を完全に満たしてくれる皮内鍼・皮内円皮鍼を使用し効果を上げている。そしてその効果に目を見張るものがある。
慢性疾患 慢性疾患の場合も肝経+他経として反応が出ることが多い。肝経のみの電気抵抗が低い時は肝兪穴に皮内円皮鍼を施鍼すればよいが、肝経より他経の電気抵抗がやや高い時は他経の兪穴を取り、肝経の兪穴は取らない方が良い。そして膀胱経の電気抵抗が極端に高く、肝経が低い場合も肝兪穴を取穴せず、兪穴以外の経穴を取穴する方がよい。なぜなら兪穴は膀胱経上にあり肝経と諸経の同名経のの流注が吻合しているからである。 皮内鍼の施鍼時間 皮内鍼及び皮内円皮鍼は虚証領域にしか使用できない。虚証領域の確認としては皮膚電気抵抗器でおこなうことが出来、井穴における皮膚電気抵抗器の測定に置いて抵抗が低く電気が流れやすい経絡上が虚証経脈となっている。 皮内鍼及び皮内円皮鍼は電気抵抗が他経より低い状態が続き、正常値とならない環境であれば何時までも施鍼してかまわない。そして電気抵抗が低い経脈上の疾病が治癒すると、井穴の電気抵抗値も正常値となるので皮内鍼若しくは皮内円皮鍼を抜鍼しなければならない。だが皮内鍼及び皮内円皮鍼を行い疾患領域が正常に機能し電気抵抗値も正常になったにもかかわらず、皮内鍼及び皮内円皮鍼を施鍼し続けていると生体のエネルギーが膠着状態となり違和感が生じ出すので、抜鍼時期を注意しておく必要がある。逆に言えば皮内鍼及び皮内円皮鍼をしていると、とても体調が良かったのに、なんとなく身体に違和感を感じだした時は抜鍼時期と判断することが出来る。 このように電気抵抗が低い領域にしか皮内鍼及び皮内円皮鍼が使用できないと言うことは皮膚電気抵抗が低く電気が流れやすい経絡の支配領域に疾病があり、その疾病には損傷電位が発生しており、修復しようとして活発に変化していると考えざるを得なくなってくるのである。そしてその支配領域に皮内鍼及び皮内円皮鍼を施鍼すると、鍼尖が電極の変わりとなり混乱している損傷電位を正常電位に変換して電位的均衡が取れることにより、驚くような鎮痛効果や虚証領域における疾病の改善が急速に行われ出したと考えられるのである。
新経絡治療(バランス鍼法)9 挙圏m医学研究所 天心治療院
院長 近 藤 哲 二
3 低出力レーザーは実証領域に有効。
低出力レーザーを使用する際には必ず左右の足の第5指の爪甲根部に対し低周波(250ヘルツ程度)に湿性綿花を接続通電し、誘導媒体を固定した。「全ての気は腎より入りて、腎より出ず」がヒントであるが、これらを使用すると身体における「気」の移動において、低出力レーザーのみを使用するよりはるかに有効であることが解ったからである。
ペインクリニック領域における低出力レーザーの治験例は多数発表されているが、痛みに対する刺激、いわゆる神経への照射という領域に終始している。そして発表されている治験例等を検討してみると、有効であったり、無かったりと偶然性に支えられている。そこに法則性を見いだすことが出来ない。 我々はレーザー医学と言う新しい分野に対し東洋医学的見地を踏まえ臨床に応用しているが、レーザーの有効性に法則性があることが解ってきた。また、レーザーが身体内に存在している電気的性質を持ったエネルギーとしての「気」を移動させているという事実を確認している。そしてレーザーの照射効果の有効性において照射領域が存在していることも解って来た。その有効領域とは東洋医学的診断の基礎としている経絡の支配領域であり、有効性は経絡の虚実よって異なり、井穴における皮膚電気抵抗値が高い、電気が流れにくい実証領域に有効であることが解明出来た。
4 「気」の存在と痛みの関係
あらゆる物質は原子から出来ており、その原子は正電荷を持つ原子核と負電荷を持つ電子からなっている。したがって物質は通常電気的に中性であるが、電子の過不足が生じた時帯電する。普通多く使われる帯電という言葉は個体表面での現象と考えられているが、帯電でよく問題となるのは、絶縁され緩和時間が長い場合である。人間もまた、人体の表部角質層が不良導体となっており、絶縁と同じ状態におかれ、体表は電気を通しにくくなっており、絶縁されているがゆえに、身体内に滞った電気的性質を持った「気」が存在する場合、帯電と同じ様な作用が生じると考えられる。つまり、身体内における緩和時間の長い部分帯電は組織に変化を与えたり、組織間の異常緊張を生じさせ、痛み等の発生原因となっていると考えられる。 例えば人体と外気との関係において、慢性疾患を持つ患者等が雨が降る前になると決まって神経痛が発生したりするのは、蒸気雲等の帯電電荷雲と体内の疾病部分における電子の過不足を生じた帯電組織との緊張により神経痛が発生する現象と考えた方がよく、身体内部の「気」の滞りとの関連性が考えられる。こうした痛みを訴える患者は身体の主訴が改善され、「気」が円滑に運行しだすと次第に天気の影響に左右されなくなって行く。 とかく現代医学では痛みに対し、神経組織の異常という考え方が支配しているようである。外科的レベルでのレーザー照射に対する臨床報告においては、神経ブロックポイントにレーザーを照射し、有効、無効の判断がなされている。痛みが神経の代名詞のように使用されて来ているのであるが、はたして痛みの機序を部分的な神経組織のみに求めてよいのであろうか。神経も移動する電気的エネルギーなしでは機能しないはずである。全身を円滑に循環する電気的性質を持ったエネルギーとしての「気」の存在の影響に対する科学的研究が必要と考えられる。
ベル麻痺 ホームページ参照「削除」
股間節脱臼による歩行痛 脱臼そのものを正常な位置に整復することは困難であるが、歩行時の痛みを除去することは簡単に出来る。この病態は実証であり、脱臼をしている側の三焦経の支配領域である筋群に異常緊張が発生している。三焦経の井穴における皮膚電気抵抗値は高く電気が流れにくくなっている。絡穴である外関穴より体幹部寄りの会宗穴に低出力レーザーを照射すると歩行時の痛みが次第に消失して行く経過を辿る。当然続発的にバランスを崩している経脈があるので、バランス鍼法として脱臼をしている側の三焦経と接続している経脈の次の経脈に対しレーザー照射をすると良い結果が得られる。例えば右三焦経を基点とした場合、右肝経と左胆経と必要があれば左心包経に照射する。それぞれの経脈に対し気が至り、過剰な電気的性質を持った「気」が抜き取れたら、最後に右手三焦経の会宗穴に1.3ミリの円皮鍼を施鍼固定して治療を終われば良い。帰宅後に固定した円皮鍼を揉んでもらい、右環指と右足の第一趾と左足の第四趾とを回したり揉んだりしてもらうことにより、治癒へ導くことが出来る。低出力レーザーが無い場合は鍼や灸で「気」を誘導する。
糖尿病 一般的に糖尿病と言えば完治しにくい疾患と考えられ、インシュリンの投与や食事制限がおもな療法となっているが、膵臓と関連する経脈の「気」を調整するだけで、糖尿病を改善させることが出来る。糖尿病における経脈上の異常は左大腸経の実証となっていることが多く、大腸経を基点としたバランス鍼法を施せば病理学的数値が正常値となっていく。バランス鍼法での操作経脈は左大腸経、左肝経、右胃経である。最後に左曲池穴に1.0ミリの円皮鍼を施鍼し一日数回揉む指導をする。指の誘導ポイントは左手の示指、左足の第一趾、右足の第二趾となり、指を回したり、引っ張ったりして「気」を体外へ抜き取る操作を行えば改善する経過が早くなる。 我々の数多い臨床データーでの改善例を見ると、低出力レーザー及び鍼や灸の操作でも有効となるのであるが、過剰となっている経脈の「気」を抜き取り、「気」の流れを円滑にすることにより、膵臓のインシュリン分泌部が正常に機能する経過を辿っていると考えられる。このように電気的性質を持ったエネルギーとしての「気」の誘導は細胞組織に多大な影響を与え、痛みと関係の無い疾患に対しても有効であることを付け加えておきたい。
東洋医学では痛みの性質を病態の変化の中に捉え、虚痛、実痛なる言葉で表現している。この虚痛、実痛は充実を健康状態、つまりバランスがとれている状態とするなら、充実より「気」が不足し過ぎる時虚痛を生じ、充実より「気」が過剰になり過ぎる時実痛が発生していると考えている。相対的概念であるが、痛みの発生が変化の中にあり、固定したものでなければ、当然こうした捉え方がされなければならない。 我々はこうした痛みの原因を「気」の過不足による組織の緊張と考え、全身を循環している経絡上の「気」のアンバランスが大きく起因していると見ている。 新経絡治療(バランス鍼法)では十二経脈が明らかに独立した支配領域を持ち、身体を循環していることを、皮内鍼を使用し上下経脈一置鍼の法則として、間接的に証明してきた。そして、明らかに独立したものとして経脈が存在しているなら、隣接する経脈上の電気的性質を持ったエネルギーである「気」の過不足により電気的に緊張状態が生じ痛みが発生しても、考え方として不思議な事ではなくなるのである。 東洋医学ではこうした虚実の概念が大変重要な位置を占めている。なぜなら臨床において虚証経脈を大瀉し過ぎると病状を悪化させ、虚痛があればさらに痛みが増こととなり、逆に実証経脈を補い過ぎると病状を悪化させ、実痛があればさらに痛みが増すからに他ならない。これらは、こうした理論の範疇に無い西洋医学で無造作に行われている点滴や注射の針を刺す位置の決定の場合にもあてはまる。例えば、精気が衰えた患者や重病な患者に、東洋医学で言う虚証経脈の支配領域に対し注射や点滴のポイントを取ることは注意を要する。単に点滴や注射をしただけなのに病態が急変した経験を持つ医師もおられることと思う。これらは、生体内の特にエネルギー「気」が不足し過ぎている領域に注射針を刺したことにより、さらにエネルギー「気」を抜き取ってしまった結果なのである。このことは出力のやや高いレーザーにも言える。虚痛、実痛を考慮せず単純に、痛みの部位に照射し、痛みが虚痛の場合、症状を悪化させることになる。 東洋医学の鍼術と言えども一般的には、こうした基本的理論があっても経絡の存在が証明されないがゆえに、経絡を都度外視し、虚実と言う概念が無視され、痛みの部位に施鍼するありきたりの手技に終始している者も多い。痛みには二種類の痛みがあり、単純に痛い処に鍼をしたら良いというわけではない。逆治療をすると病が重くなったりするのである。 これらは身体を運行する十二経絡上の「気」の過不足と関係があり、そのエネルギーとしての「気」の過不足を読み取ることが出来ないと、正しい治療を施せないことに繋がる。古典には『病は身体を巡る十二経脈にその兆候が出ているので、十二経絡の過不足が解れば治療が出来たのと同じ価値がある』と記されている。こうした重要な一面を専門家でありながら無視したり、知らないことも多い。言い換えると今までに明瞭で簡単な診断方法が無かったからだとも言える。 東洋医学は確かに経験の医学ではあるが、法則性と再現性なくして、現在まで理論が生き続けれるわけではない。基礎医学の分野で医師が本気で取り組むべき内容と言える。
5 低出力レーザー照射により皮膚電気抵抗器による測定値の安定化。
我々は新経絡治療をする上で電気抵抗測定器の測定をもって虚実を判断し、電気抵抗が高い経脈を実証、電気抵抗が低い経脈を虚証とし治療を行い法則性と再現性のある治療を施してきた。ただ測定値が経脈上のエネルギーの量を正確に計測出来ているかについては、測定圧の関係や、経脈上の余分な残存エネルギーとしての「気」によって正確を欠くことが障害となっていた。ところが電気抵抗を測定する測定点に低出力レーザーを数秒照射することによってこれらは解決した。病態の状態を把握するための電気抵抗の測定値が安定したのである。
我々は経絡上の井穴に低出力レーザーを照射し、患者自身に自らの身体内の変化を感じ取ってもらい、有効領域を判断してもらう方法を試みている。 有効領域では、解放感があったり、足へ「気」が下りていく感覚があったり、気持ち良くなったりする感覚があり、これらの領域を皮膚電気抵抗器で計測してみたら、全て電気抵抗が高くなっている経脈であった。 例えば、あらかじめ電気抵抗測定器にて計測しておき、抵抗値が高いか低いかを確認しておく。次に低出力レーザーを照射する。最初の計測通りの反応で抵抗が高かった経に有効反応が出たら電気抵抗測定値と低出力レーザーの診断とが一致し問題はない。ただ最初の測定における抵抗値では低い値を計測していた経脈に対し、低出力レーザーを照射しているにもかかわらず、患者の感覚では有効と答える場合、患者の感覚を優先し、さらに続けて照射していく。低出力レーザーで、主訴が或程度消えるくらい照射した後(鍼法では気が至ると言う)、電気抵抗測定値を再度確認してみると、最初と異なり電気抵抗値は他経脈より高くなる結果を得た。 このように井穴に対する低出力レーザー照射により、測定値が患者のおかれている症状に見合った測定数値として計測出来だしたことは、変動してやまない生命における、エネルギー「気」を計測する上で、皮膚電気抵抗測定による経絡診断の価値が増したことを意味し、測定数値を基準とした治療操作による有効度が増したことに繋がる。さらに、身体内の電気的性質を持った「気」が移動する変化を、患者自身が感じ取り、有効であるか無いかの感覚による判断が出来るということは、生命を尊厳のうちに認めて行く以上、最も重要な課題と考えられる。次回はこうした人間の感覚をテーマとし、簡単に出来る「手技による気誘導法」を説明したいと考えている。
低出力レーザー照射の効果
低出力レーザー照射による人体内の変化は身体内の電気的性質を持ったエネルギーとして存在している「気」に作用し、鎮痛は身体内における経脈上の電位差の不均衡を均等に整えることによって可能となることが解った。かつ、低出力レーザー照射によって操作出来る範囲は「気」が滞っている実証領域が有効で、虚証領域に対しては無効であることも解った。また虚証領域に対する過度の低出力レーザーの照射は病態を悪化させることも解明出来た。(図1)
我々は低出力レーザーを一定部位に照射することにより、身体内の滞る「気」が手先や足先、または、頭頂部のチャクラが開くかのように体外へ「気」が放電していったりすることを確認している。多くの人は、こうした「気」の移動時に「気持ち良い」感覚を感じ取れたりするが、気持ち良いか悪いかの感覚がつかめない患者も全体の約3割程度いるので、こうした患者には、皮膚電気抵抗測定値を目安として、治療方針を決定するとよい。 各経脈に10秒前後照射すると、井穴の測定値が安定してくる。そして抵抗値が高く電気が流れにくい経脈に対し、少し長く低出力レーザーを照射すると主訴が楽になってきたりするので、その経脈を特定し、実証に見合ったバランス鍼法の法則通りに低出力レーザー照射を行うか、豪鍼を施してやればよい。「気」が至れば治療を終わる。照射し過ぎてはいけない。
皮膚電気抵抗測定値は虚証の経脈を確認する上で欠かすことが出来ない。
身体内の「気」は単に動けば良いとは限らない。実証領域がそうであるように、組織の異常に比例し、過剰な「気」が滞っている場合は、その「気」を移動させ緊張状態を解除させることで、身体に本来の細胞の躍動を取り戻すことが出来、気持ち良い感覚が経脈上を移動して行くのを患者自身が感じ取ることが出来たりする。しかし、身体内のエネルギーとしてある「気」を動かし過ぎてはいけない領域が存在している。虚証領域である。 経絡上の虚証領域とは電気的性質を持ったエネルギーとして存在している「気」が不足している領域を言い、病態としては自発痛としての鈍痛を伴いやすい。こうした領域は経脈診断を行う皮膚電気抵抗測定器にて井穴を計測してみると、電気抵抗値が低い、電気が流れやすい値として計測される。組織が破壊されており、エネルギーの不足を補う為に、活発に組織が変化していると考えられ、それに比例して「気」も活発に変化しているものと考えられる。こうした領域の「気」は動かし過ぎてはいけない。病状が悪化するからである。 東洋医学ではこうした領域に対し補法の手技を行っている。だが補うことは豪鍼の操作にては至難を要する技術となっている。だがこれらを簡単に操作し治癒へ導く方法を発見した手技がある。赤羽氏が開発した皮内鍼である。この皮内鍼の効果は表皮と真皮との間に鍼尖を固定し虚証経脈上の損傷電位を正常電位に変換してしまい、虚証経脈を正常電位のまま固定してしまう拘束力を持ち、虚証としてある病巣部が正常になるまで有効に作用することが出来るようである。
鈍痛を伴う五十肩 ホームページ参照 削除
脳梗塞と治療。ホームページ参照 症例 62才 男 左半身麻痺 平成2年7月30日と11月11日の2回脳梗塞発症(右脳)。その後左上下肢運動障害、構語障害等発症したがリハビリ等で少しずつは回復した。しかし左上下肢の運動障害強く片麻痺歩行で歩きにくいということで来院。(平成4・1・5) 発症より1年半が経っており筋肉量などにかなりの差が見られた。 治療回数14回 左上下肢運動障害が改善され、足が上がり、まっすぐ前に出、片麻痺歩行がかなり緩和され、構語障害も改善された。
このような脳梗塞による障害の虚実の診断においては同じ反応が出やすい。証は右脳の梗塞の場合、右三焦経と左心経の実証となる。治療経脈は右三焦経の支配領域と、右三焦経が実証なので、右三焦経が接続している経脈の次の経脈である右肝経と右腎経の支配領域と右三焦経の対称にある左三焦経が接続している左足の胆経の中に著効を見出すことが出来る。これらの治療は右の梗塞した領域に対し有効に作用する。病巣部の改善が第一である。次に左の半身不全麻痺に対しての治療経脈は左心経(左から交差し右脳につながっている)の支配領域と、左心経が実証なので、左心経が接続している経脈の次の経脈である左胃経、或は、左膀胱経、若しくは右脾経の中に著効を見出すことが出来る。
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